愛知県と名鉄バスらが、「高速バスの自動運転」の実証実験を行った。本誌の連載でおなじみ、高速バスマーケティング研究所の成定竜一代表が、さっそく同乗体験させてもらいに行ってきた!! 本線からの分岐、合流、料金所と内容モリモリながらスムーズな走行。しかし課題も見えてきた。高速バス業界の未来像を占う新しいチャレンジだ。
(記事の内容は、2025年12月現在のものです)
取材・執筆/成定竜一、写真/名鉄バス、バスマガジン編集部
※2025年12月発売《バスマガジンvol.131》『スーパーバストピっ』より
■特に新しい技術は使用していないが敵は意外にも「エアサス」!?
実証実験は知多半島道路の阿久比PAと中部国際空港の間で行われた。
名鉄バスが保有するエアロエース(AMT車)を、各地の実証実験で実績を持つ先進モビリティが改造した。高速道路、自動車専用道路で高速バスタイプ車両の自動運転が行われるのは初めてだ。
最高速度は時速80kmで、本線からの分岐、合流、料金所もある。たとえば合流場面では周囲の車両の位置、走行速度をシステムが認識し、車両の隙間を見つけて合流する。
ハンドル、アクセル、ブレーキや方向指示器の操作まで自動だ(合流部分の自動運転は今回の実験の評価対象外なので、交通状況により手動介入する日もある)。
料金所レーンは、そもそも大型車にとって左右がギリギリ。わずかに進路がずれると料金所ブースに接触してしまう。料金所手前は路面の白線が消えるので自車位置把握の精度が難しい。同乗時にも一度だけ手動で修正する場面があった。
先進モビリティによると、路線バスタイプやトラックでの自動運転の経験を活かせるので、特に新しい技術は使用していないとのこと。
しかしエアサス車特有の大きな周期のバウンシング(縦揺れ)によりセンサー類も揺れる。正確な計測ができないので、その補正が必要」(同社の井上典昭部長)とのこと。
■バス事業者目線ではつらい部分も……
走行は安定している。当日ハンドルを担当(?)した名鉄バスの鈴木英治、北村真基、両運転士の評価も悪くない。
一方で、課題も見えてきた。条件が合う区間で自動運転が可能でも、営業所の出入庫など自動化が難しい場面も多い。
通常の業種なら、機械化やIT化によって「まず1割、次に2割」と徐々に要員を減らすことができるが、バスはもともと「1台に1人」必要。「一部区間が自動運転になったから、2割減で0.8人」という訳にはいかない。
これが、バス乗務員の立場から見ると「すぐにはなくならない仕事」として安心できる理由だが、バス事業者から見ると、自動化が要員不足解消に直結しないつらさがある。
これまでは「絵に描いた未来」だった自動運転だが、手が届きそうに見えてきた。逆説的だが、だからこそ「完全自動、無乗務員」というゴールが遠いことも実感できた気がする。
「いつかは技術屋さんがすごい技術を開発してくれるだろう」という姿勢では、結局何も得られなさそうだ。現時点での技術面の進捗スピードを前提に、どうやってバス事業の助けとして活用するか。バス事業者の経営サイドに新たな宿題が与えられたようだ。
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