フジエクスプレスで臨時運転士として乗務する記者のバス運転士日誌は、約1年間運転士として乗務してきた中での、路線の特徴をまとめてみた。特に一般乗合路線と企業契約の特定または貸切輸送についてだ。あくまでも記者のオピニオンだが、事業者や希望路線を決める際の参考にしていただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■企業輸送の特徴
企業契約による2点間あるいは多点間の、特定または貸切輸送の最大の特徴は楽なことだ。まずは路線経路が単純で途中停車がない、またはあっても数か所だけなので覚えやすい。1回の輸送が数十分程度だろうか。また旅客から直接運賃を収受しないので、運賃箱がない場合が多い。関係者しか乗車できないので、社員証やパスを提示するだけというのが一般的だ。
それに関係者ということは、乗客は企業で働いている人や商談や用務で赴く外部の人に限られるのでおのずと乗客層が一定である。つまり現役世代しか乗車しない。大規模ビルごとの輸送を請け負っている場合は、ビル内のテナントに来る人も乗車する可能性はあるが、割合的にはごくわずかだ。
■企業輸送の良し悪し
企業輸送の特徴は以上の通りだが、運転士としての良し悪しは個人の好みによることを、まずはお断りしておく。どちらにもなり得るからだ。本稿では記者のオピニオンとして書くが、逆が好みという人も実際にいるので、絶対的な判断ではないことを前提にお読みいただきたい。
まず、路線が単純で覚えやすく、数十分で往復できる程度の時間なのは路線バスと比較して簡単といってよい。ただし、1回の運行時間が短いということは、1日に往復する合計回数が多くなることを意味する。言い換えれば景色が変わらないのだ。変化を求める人には退屈かもしれない。
運賃収受がなく乗客の多くが現役世代というのも楽な要因になり得る。乗り場には秩序だった行列ができ、ドア扱いをすれば淡々と乗降に時間を取られずに乗ってくれる。降車も同様で、ドアを開ければ一斉に降りていく。基本的にマイクによる案内も必要ない、というよりも案内することがない。せいぜい行先と発車、到着くらいだろうか。
記者の場合は景色が変わらないのが退屈で、乗客とのやり取りやふれ合いがないのが物足りないと感じる一方で、それが最大のメリットと感じる運転士も実際にいる。よって、どちらが正解なのかは運転士個人が出す結論に依存することは再度お伝えしておく。
■路線バスの特徴
フジエクスプレス東京営業所が所管する路線バスは港区のコミュニティバスなので、一般路線バスとは若干趣が異なるが、むしろ路線バスの多くを凝縮した形といっても過言ではないだろう。コミュニティバスの性質上、ほぼ港区内で完結するように路線が敷かれている。利便性が良いように区の施設や病院、あるいは鉄道空白地帯の住宅地を細かく回り、最終的に鉄道駅に接続するような路線になっている。
地方のコミュニティバスとは異なり、毎時最大10本(平日7時台の芝浦車庫→田町駅東口)の運転頻度があり、乗客が多い路線はコミュニティバスでおなじみの小型車ではなく中型車を使用して運転される。ここまで便数の多いコミュニティバスは全国的にも珍しい。
鉄道は東海道新幹線・京浜急行(品川駅は港区)・JR在来線・地下鉄・モノレール・ゆりかもめが走り、バスは高速バスも都営バスも東京BRT等数々の路線が走っているのに、コミュニティバスでさらに利便性を高める港区の住民サービスが高次元であることを意味する。
特徴は企業輸送の逆だが、さらに一般の路線バスよりも経路が入り組んでいて面倒だ。歩いた方が早いと思われる距離に次の停留所が設置され、実際に運転席から目視できる区間も多い。かと思えば、6車線程度の幹線道路で物流トラックが多く走る、住宅街でも商業地域でもない区間は1分程度は法定速度で巡航できるほど次の停留所がない区間も存在する。
乗客の層は曜日や時間帯あるいは天候によりさまざまで多彩といえよう。ラッシュ時間帯はコミュニティバスでも通勤通学の乗客が多く中型路線車がパンパンになる。雨が降ろうものならさらに多くの乗客が詰めかける。理由は簡単で、傘を買うよりもバスに乗った方が安いからだ。今どき100均に行っても税込み100円で傘は買えないが、バスだと100円で駅まで連れて行ってくれるからだ。
日中は区の施設や病院に行く高齢者が多くなる。そもそも遅延する時間帯ではないので、二―リングを作動させても乗降に一苦労している高齢者に「ゆっくり乗ってくださいね」と声をかける余裕さえある。
そして休日はベビーカーの割合が極端に多くなる。中型車では前扉からの乗車は困難なので、停留所にベビーカーが見えたら外マイクで「ベビーカーは中ドアからどうぞ」と声をかけて最初から中扉へ向かってもらう。ママさんも慣れたもので、乗車後に遅滞なく運転席まで運賃精算に来てくれる。






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