軽便鉄道から難所越えの名手まで!! バス旅中に見に行ける保存された蒸機機関車たち

軽便鉄道から難所越えの名手まで!! バス旅中に見に行ける保存された蒸機機関車たち

 全国には、引退した蒸気機関車が今も公園などに記念物としてたくさん残っていて、マイカー/レンタカーを使わず、路線バスや鉄道での旅の最中に立ち寄れる場所もある。そんな各地の、博物館展示を除いた保存蒸機をランダムで紹介していくシリーズ第三弾では、徳島・北海道・静岡から1両ずつピックアップ。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWeb内本文上とギャラリーに、バス旅中に見に行ける保存蒸機の写真があります)

■四国・徳島で50年以上の余生を送り続ける8620型

徳島県・JR徳島駅前のバスターミナル
徳島県・JR徳島駅前のバスターミナル

 四国、徳島県の県庁所在地・徳島市。玄関口にあたるJR徳島駅もしくは徳島駅前バスターミナルから歩いて10分ほど、線路を跨いだ徳島城跡の公園内に、日本の蒸気機関車史を語る上で欠かせない8620型が置かれている。

駅近くの徳島城跡の公園を散策していると、こんなものが
駅近くの徳島城跡の公園を散策していると、こんなものが

 8620型は大正時代、主に旅客列車向けとしながら汎用性を持たせて登場した、片側に先輪1つ・動輪3つを持つ1Cテンダー式の蒸気機関車で、1914〜29年までの間に国内向けが672両が製造された。

 後年に復元された動態保存車が、2024年まで九州で観光列車を中心に活躍していたのも記憶に新しく、2026年6月現在は静態保存車が20両+ほど残っている。

蒸気機関車が早々に姿を消した四国にも保存蒸機が居る
蒸気機関車が早々に姿を消した四国にも保存蒸機が居る

 徳島城跡の8620型は、ナンバー68692が付けられている1台で、1号機から数えて553番目(数え方が複雑なのでズレてるかも)と思われる。

 同機は1923年に日立製作所で製造。新潟県の長岡を皮切りに四国へと渡り、松山を経て最終的に徳島で各種列車を牽引、1970年に廃車となっている。

柵と金網で結構厳重にガードされている
柵と金網で結構厳重にガードされている

 同年中に静態保存が決まり、現在と同じ徳島城跡の公園の中に置かれ、50年以上もの間余生を送り続けている。

 ダミーの線路上に機関車が乗せられ、瓦屋根の駅舎型上屋とプラットホーム風のモニュメントを併設しているのが展示設備の特徴と言える。

ダミーのレールはトンネルポータル風モニュメントへと続いている
ダミーのレールはトンネルポータル風モニュメントへと続いている

 一見すると15年くらい前から大きく変わってはいなさそうであるものの、機関車の保存状態にやや難ありな点が少々惜しいところ。

■北海道・帯広を走った軽便鉄道! 蒸気機関車4号と客車コハ23号

 北海道・十勝エリアを代表する都市の帯広。JR帯広駅から南へ約1.2km。最寄りの十勝バス「イオン帯広店前」バス停で下車して徒歩2〜3分。

帯広市内に残る、大昔の軽便鉄道
帯広市内に残る、大昔の軽便鉄道

 木々が立ち並ぶ遊歩道「とてっぽ通り」の途中に、十勝鉄道蒸気機関車4号と客車コハ23号が静かに流れる時を過ごしている。

十勝鉄道蒸気機関車4号と客車コハ23号
十勝鉄道蒸気機関車4号と客車コハ23号

 帯広周辺にはその昔、レール幅762mmの軽便鉄道「十勝鉄道」の路線が伸びており、同地の日頃の足として、1923〜59年の間まで「トテッポ」の愛称で親しまれたと言われる。

軽便ならではの、こぢんまりした車体
軽便ならではの、こぢんまりした車体

 とてっぽ通りに置かれている蒸気機関車4号は、1920年に日本車輌製造で作られた、片側に小さな動輪を3つ取り付けた、重さ12トンのCタンク式小型蒸気機関車だ。

煙室扉の「4」の文字がよく目立つ
煙室扉の「4」の文字がよく目立つ

 当初は現地で採れたてん菜や砂利などを積荷にした貨車の牽引に使われ、のちに客車列車も牽いたとされる。

先輪/従輪のない「C」の軸配置
先輪/従輪のない「C」の軸配置

 十勝鉄道が旅客営業を終了した1959年11月に廃車となり、その後帯広市へ寄付。1990年に現在の場所へ移転してきた。同車は帯広市指定文化財の肩書きも持っている。

後ろに連結されている客車コハ23号は1926年製造の2軸木造車
後ろに連結されている客車コハ23号は1926年製造の2軸木造車

 同型車が他に何両か在籍していたようだが、機関車/客車ともに現存しているものはこれら1台のみとのことだ。

次ページは : ■静岡・御殿場線の“顔”を務めたD52型

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