バスの料金箱の可能性と便利さを切り開いてきたLECIP。この第2弾では、運賃ばかりでなく、利用客の情報管理も行っている総合機能について触れたい。
取材/文:小林敦志(バスマガジンvol.97より)
運賃収受だけではなく情報収集も重視される
●整理券へのバーコード印字も料金箱の仕事
前述したとおり、登場したばかりの運賃箱は現金、しかも硬貨のみの対応であった。その後両替機能がつき、磁気カード、そして交通系ICカードと、時代とともに変わってくる運賃の支払い方法へ対応してきた。
そのような進化とともに、単なる運賃収受を担っていた運賃箱に求められる機能も変化してきているようだ。
「磁気にしてもICにしても、乗った場所、降りた場所、払った運賃といったデータが取れるようになりました。こうなると、バス事業者様も路線ごとや、バス停ごとの利用人数などを知りたいという、得られるデータを重視するという流れとなり、運賃箱に求めるものが変わってきました。それに合わせて高機能化しております」(大野氏)。
運賃箱や周辺機器を活用したデータ収集により、乗客へはバスロケーションシステムなどでの利便性を高め、バス事業者へは集めたデータを有効活用できるような環境整備など、“ものとこと”の両方が求められているとのこと。
機器をそろえるだけでなく、集めたデータをどうするかというのが今後さらに求められているということであった。
いま世の中で話題となるキャッシュレス社会が運賃箱に与える影響については、「運賃箱の革新はいままでは現金ありきなのです。しかし、その現金がなくなっていく。運賃箱自体の形状の変化(小型化など)よりも運賃収受が大切になってくるのですね。形は二の次です。収受形態がどうなるかですね」(大野氏)。
「QRコードやスマホなどへの対応というものもありますが、本当に現金がなくなるのかという部分があります。路線バスは高齢者などの利用が多いことを考えると、現金での運賃収受は細々と残っていくかもしれない。今後も時代の変化に柔軟に対応していくことになります」(宮澤氏)。
時代の変化に対応しながら進化を続ける日本の運賃箱。バス事業者だけでなく、乗客の利便性を今後もますます高めていくことは間違いないようだ。