その1に登場したV8エンジンのキュービック。その魅力は何といっても、迫力あるエンジンサウンドである。
それはもう車外にいても、車内に乗っていても、「ズドドドドド……」という観光バスばりの超重厚なサウンドは、体の底から響いてくる心地よさ、格好良さがある。
今回は東海バスの個体に焦点を当てていこう。
本文執筆■ホリデー横浜(バスマガジンvol.87より)
いまも現役のKCーLV280と380 〜いすゞのハイパワー伝説〜 『キュービック・V8車列伝!!』その1へ
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“男っぷり”のいいエンジンサウンドが秘めたパワーをアピール
市街地など平坦な地域向けには標準的な240馬力のエンジンが、山岳地帯など厳しい走行条件の路線には285馬力の高出力エンジンが用意され、それまでのU-代車に搭載されていたエンジンよりそれぞれ10馬力パワーアップされている。
「V8キュービック」は、サウンドだけでなく、実力面においても“パワーが売り”の路線バスなのである。
その証拠に、兵庫県の山陽電鉄バスでは、高出力のV8キュービックを好んで導入しており、坂の多い路線でその才能を如何なく発揮する様は、正に「適材適所」であったといえよう。
なお、キュービックは標準車体に対する好みが事業者によって大きく分かれる結果となったため、標準車体ばかりではなく、事業者の好みにおいて、富士重工業の17型車体や、西日本車体工業の96MC車体を採用したケースが多く存在する。
また標準車体であっても、オプションで従来の路線バス同様の三角窓のない2面の曲面ガラスを採用した車体(東武バスに多く採用された車体のため、「東武面」などと称されている。)が製造されたこともあった。
しかし、いずれも同じV8エンジンを搭載しており、その迫力あるサウンドは、車体が違っても同じである。