茨城県に知人がいるが、茨城空港を利用したことがないそうだ。いつも成田空港を利用しているそうで、そのほうがルートや利用できる航空会社は大きく広がる。
同様に静岡空港を利用したことがない静岡県民も多いかもしれない。そして、こういった人の動きは「長距離の空港バス」に支えられている部分も大きい。
文/写真:谷川一巳(バスマガジンvol.82より)
※ダイヤや料金は掲載当時のものです
地方から成田空港への足は空港バスが便利!!
成田空港を例にとると、とかく東京駅や新宿駅などからの交通アクセスが話題となりがちであるが、実は成田空港へは多くの地域から空港バスがやってくる。
関東・甲信越のすべての都県のほか、福島、宮城、静岡、富山、石川、京都、大阪からのバスもあり、成田空港を発着するバス路線はなんと1都、2府、14県に達する。
このうち一部は夜行便で、空港バスというよりは千葉と地方を結ぶ夜行バスが成田空港を始発にしたり、成田空港を経由したりするというルートではあるが。いずれにしても、目立たない存在であっても、空港を発着するバスは日夜黙々と、広範に客を運び続けているのである。
一般の高速バス路線と違って運行時間帯も興味深い。前橋発を例にすると始発は何と3時25分、そして4時5分、4時45分と続く。
宇都宮発は3時10分、4時25分、水戸発は4時39分、甲府発は4時5分などとなり、高速道が混雑する時間帯以前に東京近郊を通り抜け、早朝のうちに成田空港に到着、朝のアジア便などに間に合わせるのである。
そのため、さらに成田空港から遠い福島発は0時30分発、静岡発は0時15分発となる。これらは夜行バスの運行時間帯となるが、「夜行高速バス」と認識されていないのか、これらの便は「高速バス時刻表」(交通新聞社刊)などには掲載されていない。
これら路線は地元にとっては、日本の玄関となる空港と地方を結ぶ大切な路線で、地域にとってなくてはならない存在となっている。北関東などからの場合、新幹線を利用しようとしても鉄道は始発が遅いため、運賃が高いか安いかという問題以前に、成田空港に早朝に到着する手段とはならない。
もし北関東地域から成田発の午前便に乗ろうとすると、前日のうちに成田空港周辺へ行って前泊しなければならない。羽田空港に関しても成田空港と似た状況にあり、空港バスは広範な地域からやってくる。