大阪府を走るバス事業者の方向幕の特徴として「角文字」の書体が多い、色使いが鮮やか、などといった特徴があげられる。また書体だけではなく文字面の大きさも事業者ごとの特色も色濃く出ておりバラエティに富んでいる。
この特集では、大阪府内で活躍する大手バス事業者の方向幕を各社局部ごとに全3回で紹介する。
文/写真:高木純一(バスマガジンvol.90より)
《大阪市交通局(現大阪シティバス)》民営化された今も方向幕車は健在
大阪府を代表するバス事業者だった大阪市営バスは2018年4月に大阪シティバスとして民営化されたが、今でも方向幕車は存在する。
大阪市営バスの方向幕は表示機が車両メーカーにより若干異なっており、交通電業社製とS-light(現レシップ)製(日野車のみ)の2種類があるが、三菱車だけは表示機が交通電業社製、検知機はS-light製という組み合わせだ。
幕自体はどの車両でも使えるように表示機を幕に合わせた形になっている、幕は1999年車まで前面幕がやや幅狭なもの(1250mm)だったが翌年の新車以降は標準的な大きさ(1440mm)に変更された。
それと同時に丸文字だった書体が角文字書体に変更され、翌年のダイヤ改正では今まであったゾーンバス制度(幹線から支線への乗り継ぎ)を廃止し、乗り継ぎ場所の制限をなくしたため幹線支線表記だった幕を全車両一新させた事があった。
なお同局のワンマン機器は集中操作式のため方向幕の操作器が存在しない。
また車検回送などに使う「整備回送」や研修等で使う「白幕」があることも他社にはない大きな特徴である。
《高槻市交通部》早い時期に方向幕が全滅している
大阪府の東側にある公営事業者で、早いうちに方向幕車が全滅した交通部でもある。
同部の方向幕は交通電業社製の表示機と幕を採用し、「高槻市営」コマのみ緑ベタコマであったが、ワンステップ車導入を機に低床車両の方向幕はすべてのコマを青ベタ幕にし、一般車と区別するようにした。
レトロバス「ふれあい号」も方向幕車で、2カ所の営業所のどちらでも運用できるように両方の内容が入った、サイズも内容も特殊な方向幕であった。