今や乗用車の世界ではオートマチックトランスミッション車(AT車)がほとんどで、マニュアルトランスミッション車(MT車)を探す方が難しい。実はバスの世界でもAT車が多くなってきている。現行モデルではAT車しかない車種もあり、普段乗っているバスがAT車である可能性は今後高まる。実際に営業運転で乗った感触から紹介していこう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■初期のAT車は乗りやすい?
あくまでも路線車を営業運転するという前提での感想なので、こまめに停車して都度乗降がある状況での話である。記者が運転するのは主に中型車の日野レインボーである。まずは昔の乗用車ではよく見かけた「T字型」の形状をしたセレクトレバーが伸びている懐かしい形状だ。
いわゆるトルクコンバーター方式のAT初期の形状で、発進時や変速時のショックによる乗り心地や、スムーズでパワフルな加速性能という面では、この形状が最も過ぎれていると感じる。
素直なフィーリングで乗りやすく反応も良いので、この形状のATを搭載する車両は総じて古いが、運転士には人気がある。乗客にもさほど違和感がない変速で安心して乗れるのではないかと思っている。
■不人気なのがAMT
写真のこの形状は、6速AMT車である。MTでのギヤチェンジによる変速をクラッチ操作を含めて単純に自動化したものなので、レバーを右に倒せばマニュアルモードで運転できる。マニュアル車に近い乗り心地で乗客には最も違和感がないのではないだろうか。
ただし、AMT車は変速のタイミングが運転者の意図しないところで起こるので、特に停止時に意図しないショックが大きく、要らぬ場面でエンジンブレーキがかかりすぎる。ギヤが下がる速度は落ちるがとトルクが増すので前に出ようとする力が大きくなり、停止しようとする場面では嫌がられる。
そしてシフトアップのタイミングもプログラムされた通りなので、道路状況によりもう少し引っ張ってほしい時や、早くシフトアップしてスピードに乗ってほしい時にはまったく無力である。これも嫌われる理由で、AMT車でダイヤに遅れが出始めると万事休すだ。
■インターロックの方式
以上の2方式の共通点はインターロックの方式で、ドアが開いているとNレンジから動かせないのでDレンジに入らず、発進ができない。よって停車時にはNレンジにしてサイドブレーキを引き、ドアを開ける、発進時はこの逆の天順を取らないとバスは動かない。
ドアを閉めるのは比較的時間がかかるので、それを待ってからでないとDレンジに入らず、このたった1~2秒程度の手順が数十カ所ある停留所で積み重なれば簡単に分単位の遅れにつながる。それでもトルクコンバーター方式はパワフルなので、メリハリのある走りができるので、それほど苦にはならない。
AMT車の名誉のために言っておくと、マニュアルモードを駆使して走る運転士はもちろんいる。自分の意図したタイミングで変速しようとする猛者はまだまだいるのだ。100m以内に次の停留所がある路線では、少なくとも記者にはそのスキルはないので、AMT車に当たると複雑なのは事実である。





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