バスの可能性を掘り下げるこのコーナー、前回はコミュニティユースにうってつけの7mEVバスを試乗、紹介した。そして今回は大きく足を踏み出して、フルサイズ路線バスの10.5m車の試乗した。
このオノエンスターEV10.5、もちろん輸入車ながら日本の道路風景にすぐにでも溶け込めそうな面持ちながら、取材チームにその超実力を見せてくれた。
【画像ギャラリー】その仕上がりはまさに超GOOD。スーパーEV路線バスをつぶさにチェック!!
本文執筆:近田 茂
取材協力:オノエンジニアリング(バスマガジンvol.101より)
時代は変わった。本格派大型路線バスにEVモデルが渡来
今回は全長10.5mの大型路線バスの「オノエンスターEV」に試乗。港から陸送搬入されたばかりの車両だ。これから納入先向けへの仕様変更と、登録への納車前整備が行われる。
整備作業に備えて小野社長自らがハンドルを握り、様子を探りつつオノエンジリニアリング・ワークスまで搬送。すでに中国のアジアスターを頻繁に訪問し試乗も含めて仕様検討が重ねられてきた。
ほかにも様々な経営手腕を発揮する小野社長は、整備現場にも顔を出し、全体の作業進行を自ら把握し的確に指揮管理する姿がそこにある。
さてバスやトラックなど、大型車両におけるEV化は難しいと常々いわれてきた。ハイブリッドに関しても取り組みは早かったものの、日本での実用化や普及はまだまだである。日野ポンチョのEVがいくつかの都市で実用試験運行されているほか、BYD 製のEVが一部事業社で導入開始されている程度。
ただし歴史を振り返ると、かつてEVが活躍していた事実があった事を思い出す。運行例は戦前からあり、燃料不足による統制下の戦中戦後でも稼動。
また80年代までは、廃止されたトロリーバスをEVに変換利用された事例もあった。鉛バッテリーユニットをパレットごと入れ換える方式で実用運行されていたのだ。
もちろん燃料が潤沢に入手できるようになってからは、主力がディーゼルエンジンになったことはご承知の通りである。
近年、そのネガな部分として指摘されているのが大気汚染。都市部で発進停止が繰り返される路線バスから排出される排気ガスは膨大。現在はエンジン排気量が一時期の半分以下になる程までにダウンサイジングされ、環境性能は大幅改善されて省エネと排出ガスのクリーン化は徹底的に高められてきているのである。
しかしゼロエミッション車を目指す時、到達点のひとつとしてEV化が目前に迫っていることは間違いない。急速な経済成長と共に、大気汚染が著しい中国では政府主導でEV利用が進み、ほとんどの路線バスは既にEV化されている。