センスの違いを感じる新しいデザインが魅力的
普段見慣れないフロントマスクは、モダンで新鮮な印象を受ける。窓の無いリヤビューも観光バスに近い雰囲気があるが、大きなフロントガラスの上端には路線車らしいLED方向幕が組み込まれている。
下方中央には前方を睨むカメラとボディ部にはレーダーも装備。車線逸脱警報や衝突被害軽減ブレーキも標準装備されている。
乗降ドアはグライドスライド式で、外側へも内側へもスペースを奪わない、賢い2枚の両開き式。乗り込むと中ドア後端まで広々とフラットなフロアが広がっている。
全長は10.5m。国産同クラスと比較するとホイールベースが長く、エルガ11mクラスに匹敵する5950mm。10.5mクラスとしては立ち席乗車エリアが広い。座席は19+補助席4、そして運転席1の全24席で2点式シートベルトを装備する。立ち席が60で乗車定員は84名と上級車並みだ。
ハイバックシートの運転席はレザー調の豪華仕上げ。3点式シ-トベルトが組み込まれ、装着感は良好。シートヒーターまで装備され国産バスにも欲しい装備だ。
客席シートも足元がスッキリとデザインされ、床のモップ掛けも容易で小荷物を足元に置くにも好都合だ。
そしてルーフの前後2カ所にリフト式の換気窓がある。基本的には非常口だが、5通りの開放状態が選べる。
横転した時でも脱出口が確保できる欧州式機能の採用として魅力的だ。窓ガラスを叩き割るためのハンマーも7個装備されていた。
さて試乗。運転操作は至ってシンプルで、既報のEV7m車と共通だ。サイドミラーの張出が大きく感じられた点と、長いホイールベースに気をつける必要はあったが、モーターのトルクも十分に太く、挙動はスムーズで扱いやすかった。
ちなみに試乗車は最高速度を80㎞/hに設定。DANA製の液冷200kwモーターは、2500Nmもの最大トルクを発揮。最高回転数は2700回転。リチウムバッテリー8連装のフル搭載で250㎞以上の航続距離を誇る。
驚かされたのは搬送時の航続距離。バッテリー残量93%でスタートして一般道167kmを走行し、残量がまだ50%。そのままあと160km走れると表示されていたという。
専用の急速充電機を使えば空状態から60分前後で満充電完了。この性能なら路線バス用途のニーズには十分である。
ミッションやクラッチがない分、メンテナンスコストの削減も期待でき導入費用も高くない。今後はバス事業者のイメージアップへの貢献度も侮れないだろう。