バスは一般の道路状況により遅延しやすい。スムーズで安全でダイヤ通りの運行をするために運転士は気を使うが、乗客として利用していてはわからない運転士から乗客への「お願い事」を聞いてきたので掲載する。本稿には4月のバス占いも付録するので、合わせてお楽しみいただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージで本文とは直接関係ありません。)
■おねがいしま~す!
複数の事業者の運転士に聞いた話なので、特定の地域あるあるのお願いもあるかもしれないが、それは当該地域の方は特に聞いていただきたい内容としてご覧いただけると幸いである。
今回聞いた話にはいわゆるカスハラまがいのことは含まない。それは別の問題なので、普通に利用している乗客にお願いしたいことだ。
■車内でもいろいろ発券できるのですが…
まずは都営バスからだ。都営バス車内では1日乗車券を発券することができる。23区内の都営バス専用の1日乗車券は500円だが、磁気券でもICカードにも発券できる。もう一つは都営交通のほぼすべてに有効な都営まるごときっぷの磁気券も発券可能でこちらは700円だ。
記者も聞いたことがあるが、乗客はたいてい乗車時に「1日乗車券ください!」と言う。しかし、どちらかわからないので必ず聞き返される。それにより運賃箱を操作して発券するのだ。1日乗車券を購入する乗客はわかっているので「500円のください!」と回答するのだが、最初から「1日乗車券ください」ではなく「500円のください!」とか「まるごときっぷください!」と言ってもらった方が早く発券できる。
ついでにICならば「パスモに500円のください!」と言ってもらうのがベストだそうだ。都営地下鉄も利用する場合は都営まるごときっぷを検討する必要もあるが、乗車時に1日乗車券をスムーズに購入した方がバスも遅れずお互いのためだ。細かいことだが、誤発券すると後処理が大変で乗客にも迷惑がかかるのでお願いしたいことなのだそうだ。
■駆け込みはやめてってば!
鉄道では相変わらず駆け込み乗車が多く、ホームでも車内でも駆け込み乗車をしないように注意喚起の放送はたびたび聞かれる。実はバスでも駆け込み乗車はよくある。
原則として扉を閉めて動き出したら乗車できないと思ってていただきたい。前方から明らかに乗りたい素振りで走ってくる乗客を認めれば待ってあげる「温情」もあるにはあるが、後ろから走ってこられても運転士には見えないことがほとんどなので、ダイヤ通りに走っているバスに飛び乗ろうと考えるのはやめよう。
まれに閉めたドアを外からたたく乗客がいるようだが言語道断で、動き出す直前で危険極まりなく常識的に考えてバスのドアをたたくなどの行為は慎みたい。駆け込み乗車に失敗して電車のドアをたたくだろうか? 同じことだ。
■直前直後の横断はしないで!
バスの直前直後の横断は大変危険です!と注意喚起の放送が流れるが、なぜ危険なのかを知っていると、とてもではないが「命あっての物種」と理解できるだろう。降車直後に横断歩道ではないバスの前後を横断する行為は命取りなのだ。
まずは直前の横断だが、運転士からは死角が多く見えた時にはすでに発車していて間に合わないのだ。一方で、直後の横断はバスの左後ろに回って横断する形だ。後ろなのでぶつかってくることはないだろうと考えるのは早計だ。
バスが発車する際に、運転士は当然ながらハンドルを右に切るのは理解していただけるだろう。後輪の位置はバス最後尾よりもだいぶ前についている。つまりバスが右に出れば後輪より後ろの車体(バスのお尻)は左側、つまり停留所側に振られるのである。
もしこの時にバスの最後尾付近を歩いていたら、バスが体当たりしてくることになる。大都市のように歩道と車道がきっちりと分けられて、ガードレースがあればもう逃げ道はない。バスの直前直後の横断がいかに危険なのかがお分かりいただけただろうか。
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