バスにも「観光バス」や「路線バス」のような、使われ方によって色々な呼び方があり、そんな中で「連絡バス」と呼ばれるものを時々見かける。それはいったいどんな類のバスのことなのだろうか。
文・写真(特記以外):中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、連絡バスにまつわる写真があります)
■連絡バスってどんなバス?
さてこの「連絡バス」、わざわざ独立して「連絡バス」と称しているゆえ、一般的な路線バスや高速バス・観光バスほか、各ジャンルのバスとはまた何か異なる性質を持っているのだろうか?
ひとまず歴史面からアプローチすることにして、国立国会図書館の蔵書から「連絡バス」の記述がある文献を古い順に開いて、どんな用途のバスに対して連絡バスと表現しているのかを見てみる。
明治大正時代の英和辞典と海外視察関係は除き、国内の連絡バスについて言及している、特に発行年の古かったものは昭和初期。
内容としては、1928年に開催された京都大博覧会での、京都駅〜会場間と会場〜会場間の移動手段に用意されたバスを「連絡バス」と称している。
その他、大体1930〜60年代までの各文献に、連絡バスと記載されている乗り物が結んでいた場所の例を挙げていくと……
・駅〜駅
・駅〜温泉
・駅〜登山道への入口
・駅〜民間企業の工場
・災害による鉄道不通区間の代用
・駅〜遊園地
・駅〜寺
・駅〜ハイキングコース
・都市間移動
・会社のレクリエーション目的
……といった始点と終点の関係が見られる。
■定義はないようだけれど
「連絡バス」に法律上の定義は特になく、バス会社が「連絡バス」と公式に呼んでいる分には、どんなバスでも連絡バスになり得ると言って良さそうだ。
とはいえ、古い時代の連絡バスの運行区間の特性を見ると、「駅」というキーワード率が高く、鉄道との関係はかなり深い。
一方、駅を出たバスが向かう先に注目すると、バスを利用する乗客のほとんどが、「工場に出勤する」、「山へハイキングに出かける」、「遊園地へ行く」という共通の目的を持った、特定の場所や施設をピンポイントに目指す傾向が強い。
さらに、駅〜特定の場所・施設を結ぶバスのうち、鉄道とダイヤ上の接続を取り、スムーズな乗り換えができるよう工夫しているバスのことを、一般的な路線バスとは別枠扱いにして「連絡バス」と称している印象を持った。
■言い回しがもっと横文字に
大昔の連絡バスに関しては、上記のような特性を持ったバスの総称といった感じらしい。2025年現在も、駅〜特定施設を結ぶバスは全国各地に数え切れないほど運行している。
しかし今はそういったバスのことを「連絡バス」とはあまり言わなくなった様子。代わりに一般化した総称が「シャトルバス」だ。
最近は鉄道との接続をしっかり取る、いわゆる連絡運輸を行うバスはかなり珍しく、ダイヤ的に乗り換え容易なバスも「シャトルバス」や、普通に「路線バス」と呼ぶケースが多い気がする。
ほか、鉄道不通区間の代用バスは「代行バス」、都市間移動をするバスの場合「都市間バス」あるいは「高速バス」。会社やホテルなどの「送迎バス」も昔の連絡バスと性質がよく似ている。
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