20年前の万博輸送システムを振り返るだと!? 覚えている人は愛知と関西を比較判定してみてほしい!!

20年前の万博輸送システムを振り返るだと!? 覚えている人は愛知と関西を比較判定してみてほしい!!

 大阪・夢洲(ゆめしま)で大阪・関西万博が開催中だ。その様子はメディアやSNSでも連日話題になっており既にご存知のことだろう。ところで、この前に開催された国際博覧会というと覚えている方はいるだろうか。今回はその前回開催された「愛・地球博」について特に観客輸送に焦点を当てて振り返ってみたい。

文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■「2005年日本国際博覧会」って覚えてた?

万博で並ばないというのは無理な話なのか?20年前も多かった…
万博で並ばないというのは無理な話なのか?20年前も多かった…

 愛・地球博は今から20年前の2005年、平成17年に愛知県の愛知青少年公園(現:愛・地球博記念公園)の敷地などを使って開催された。正式名称は「2005年日本国際博覧会」であり、愛称として「愛・地球博」と呼ばれた。場所は長久手会場と瀬戸会場の2つで行われ、その2つはバスやロープウェーで行き来することができた。

 3月25日から9月25日まで185日間の会期中に約2205万人の来場者を記録し、博覧会のテーマ「自然の叡智」として人と自然がいかに共存していくかとして公園の一部を会場の一部としてそのまま展示したり、環境に配慮された建物の設置などが行われた。会場内を1周するグローバルループや体験施設「サツキとメイの家」など人気となり会期後半には連日入場口には多くの来場者が列を作った。

 現在は愛・地球博記念公園として整備され、グローバルループの一部が残され今でも当時を振り返ることができるほか、サツキとメイの家もそのまま残ったほかジブリパークと呼ばれるエリアが新設されジブリ作品の様々な体験ができる施設や作品に登場する建物などが再現されている。

■当時のシャトルバスは?

近鉄の特別企画乗車券
近鉄の特別企画乗車券

 そしてその愛・地球博に向かうアクセスであるが現在開催中の大阪・関西万博同様様々なルートが設けられ来場者を運んだ。名古屋駅や周辺駐車場からのシャトルバス、また日本初の常電導磁気浮上式リニアモーターカー「リニモ」が藤ヶ丘駅~八草駅(当時は万博八草駅)で愛・地球博に合わせて開業し大きな話題となった。今回はその中から、会場を結んだシャトルバスについてお届けしたい。

「きっぷ」を持つと「行くぞ!」という気分になる?
「きっぷ」を持つと「行くぞ!」という気分になる?

 2005年の筆者が着いたのは名古屋駅である。当時ここからのアクセスとしてはJRで中央線、高蔵寺駅から愛知環状鉄道の八草駅まで乗り入れていたEXPOシャトルと、名鉄バスセンターから会場バスターミナルまで結ぶEXPOライナーがあった。名古屋駅のスポット、ナナちゃん人形を見ながらエスカレーターを上がっていくと3階の名鉄バスセンターが見えてくる。

紙の乗車券の方がスムーズな場合もある?
紙の乗車券の方がスムーズな場合もある?

 高速バスなどが出発するホームの先、降車ホームとなっている辺りにEXPOライナーの切符売場と乗車口があった。運賃は片道1000円で往復割引もあった。筆者は近鉄に乗車して名古屋に向かっていたので、当時発売されていた近鉄の往復乗車券がセットになった「愛・地球博往復きっぷ」を利用していた。切符売場の先に係員がいて行きの切符を手渡す。

アプリを立ち上げQRコードを見せるのではなく「きっぷ」を改札する
アプリを立ち上げQRコードを見せるのではなく「きっぷ」を改札する

 現在開催中の大阪・関西万博ではアプリ「KANSAI MaaS」で購入・決済が行われチケットレス化となっているが、この時はまだ紙によるチケットが主流で行き帰りのチケット売場や切符自販機には長い列ができていた。待機しているバスに順に案内され乗車していく。

混雑するのは20年前も同じ
混雑するのは20年前も同じ

 当時EXPOライナーは愛・地球博長久手会場にある東バスターミナルまでを35分で結んでいた。名古屋高速、東名高速道路、そして新たに整備された名古屋瀬戸道路を経由して走行していた。高速を降りると交差点の先にバスターミナルへ向かうレーンが作られていたので導線はスムーズであった。

きっぷうりばがあるのは現在と異なるところか?
きっぷうりばがあるのは現在と異なるところか?

 筆者もこのルートはよく利用したが、長久手方面へ向かうのにそれまでは東名高速道路と連絡する名古屋インターで降りて一般道を走る必要があった。ここからが混雑していたので、こんなにも早く長久手まで行けるのかと最初は驚いたのを覚えている。名古屋駅近くの名古屋高速黄金インターから上がるのだがそこからだと名古屋駅エリアを一望でき、愛・地球博と同時期に開催されていた笹島地区のサテライト会場の観覧車や建設中のミッドランドスクエアのビルがよく見えた。

日急のエアロがまだ新しい時代?
日急のエアロがまだ新しい時代?

 バスターミナルは長久手会場の東端にあり、ここから徒歩数分で東ゲートに行くことができた。ただゲートからパビリオンのある場所までがやや遠く、人気のパビリオンの整理券をもらうためには走っていく必要があった。この愛・地球博の目玉展示であった永久凍土から発掘された冷凍マンモスを見るため会場中央にあるグローバルハウスのマンモスラボまで急いで整理券をもらうため並んだのも思い出だ。

輸送計画は常にアップデートされたのは今も変わらず?
輸送計画は常にアップデートされたのは今も変わらず?

 車両は2000年代に入ったばかりということで三菱エアロエースKL-MS86MPやエアロクィーンⅠ、日野セレガR U-RU2FTABが活躍する時代であった。現在ほどゆったりとできるようなシートピッチではなかったのでお土産などを買うともう乗り込むのも大変なほど詰め込まれて座ったのも記憶している。

まだ多くの「二階だけ」スーパーハイデッカー車が闊歩していた時代?
まだ多くの「二階だけ」スーパーハイデッカー車が闊歩していた時代?

 ただ高速区間がほとんどだったこともあり、乗り心地はなかなか快適であり帰りの便は居眠りしている間にもう名鉄バスセンターに到着ということもよくあった。

次ページは : ■当時の最先端技術をフル活用!

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