空港アクセスの筆頭格といえるリムジンバス。あまりにも馴染み深い響きに思えてくるリムジンバスであるが、そこまで浸透しているとなれば、日本全国どこの空港にもリムジンバスが現れるのだろうか。
文・写真:中山修一
(リムジンバスと空港にまつわる写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■リムジンバスと日本の空港
空港連絡バスや空港シャトル、エアポートライナー等とも言う、空港と市街地を結ぶ、主に高速道路を経由するアクセス用のバス。
中でもリムジンバスは「空港行きのバス」の意として一般名詞化するほど、有名かつ定着している呼び名だ。
それほどのメジャーどころ、となれば、日本全国の空港に「リムジン」を名乗るバスがどれくらい乗り入れているのか、ちょっと気になってくる。物凄く多そうなイメージが何となく浮かぶ。
■全国空港リムジンバスしらべ
そこで簡単ではあるものの、全国各空港にやって来るリムジンバス率を調査してみることにした。
リムジンバスの有無の条件として、まずバス事業者が「リムジン」と名乗っているバスが1台でも乗り入れて来ていれば、そこはリムジンな空港としてカウントされる。
ほか、空港に来るバス車両の、車体のどこかに日本語で「リムジン」もしくはアルファベットで“Limousine”と書かれている場合も、写真や実物で確認が取れたものに関してはカウント対象にした。
ここでは、コロナあるいは運転手不足の影響で運休しているものや、予約制のバス、季節運行のバスも対象に含めている。
■気になるリムジンな空港の結果は!?
日本全国各地にある、原則として定期便が就航している空港83箇所を抽出して、各空港のアクセス交通を確認していく方法でリムジン率を割り出した。気になるその結果は……
【リムジンな空港】:28箇所(34%)
新千歳、秋田、大館能代、福島、仙台、新潟、小松、羽田、成田
中部、関西、神戸、伊丹、南紀白浜、高松、徳島、高知、松山
岡山、広島、出雲、北九州、佐賀、熊本、大分、長崎、鹿児島、那覇
【非リムジンな空港】:55箇所(66%)
旭川、帯広、稚内、釧路、函館、利尻、奥尻、中標津、紋別、女満別
青森、三沢、庄内、花巻、山形、茨城、調布、松本、静岡、名古屋
富山、能登、岩国、米子、但馬、石見、隠岐、鳥取、山口宇部、対馬
福江、壱岐、種子島、屋久島、福岡、宮崎、天草、奄美、喜界、徳之島
沖永良部、与論、久米島、南大東、北大東、宮古、下地島、多良間
新石垣、与那国、大島、新島、神津島、三宅島、八丈島
どこにでもいそうなリムジンであったが、蓋を開けてみれば意外や意外、全体で見れば3割台と、むしろ少数派であった。
非リムジンな空港は、運行形態や使用車両もリムジンバスと要領は一緒ながらも、どのバスも「空港連絡バス」や「シャトルバス」といった別の呼び方をしているのが理由の一つに挙げられる。
ほか、一般路線バスやコミュニティバス、予約制タクシーといった交通アクセスのみの空港もまた、リムジンバスに相当する車両がそもそもないため、半ば自動的に対象から外れる。
■絞り込むと見方が変わる
続いて、2023年度に利用者数の特に多かったTOP10の空港に絞り込みをかけて、リムジン率を観察してみよう。すると……
【利用者数の多い空港】:9箇所(90%)
羽田(○)、成田(○)、関西(○)、福岡(×)、新千歳(○)、那覇(○)、伊丹(○)、中部(○)、鹿児島(○)、仙台(○)
この中で唯一、福岡が対象から外れた。福岡ほど大きな空港ならリムジンの一つくらい来ているだろうと思ったのだが、どうやら「リムジン」と銘打つバスは現状居ないらしい。
とはいえ、今度はなんとリムジン率9割をマーク。人の往来がたくさんある空港が舞台となれば、ほぼリムジンは切っても切り離せない存在に変わるわけだ。
そういった大空港ほど行く機会は多いし、併せて周辺の街中で「リムジン」と書かれたアクセスバスを見かける回数も増える。
そのため「マンデラ効果」の如く、リムジンバスが全国的にまんべんなく浸透している印象が刷り込まれているのかもしれない。それでも空港行きのバス=リムジンの通称には、圧倒的な影響力を感じる。
【画像ギャラリー】都会ほど良く見かける? リムジンバス(8枚)画像ギャラリー
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