ひとつのバス事業者を掘り下げて紹介する、バスマガジンの名物コーナー。今回は2017年に遡って、3月発売号で掲載した、川崎市交通局編を振り返って紹介する。
多摩川に沿って南北に長い川崎市。その全域に路線を展開する川崎市営バスは、臨海工業地帯や丘陵地の住宅街まで、住民や勤労者の足としてつぶさに運行されている。
このタテ長の川崎市を縦に運行することで、横方向(東西)に伸びる各鉄道間との接続機能も果たしている。なお画像ギャラリーではいすゞ車を紹介する。
(記事の内容は、2017年3月現在のものです)
構成・執筆・写真/加藤佳一(B.J.エディターズ)
※2017年3月発売「バスマガジンVol.82」より
【画像ギャラリー】川崎市交通局の所有するバスを詳しく見る! バス会社潜入レポート・川崎市交通局:編 その2【いすゞ車】
■南部では工業地帯の通勤輸送 北部では住宅地や病院を結ぶ
●西菅団地
南北に細長い川崎市では、市バスの路線環境もエリアによって大きく異なる。主にJR東海道本線以南のエリアを担当する塩浜営業所は、臨海工業地帯への通勤輸送が大きな使命。
基幹となる〈川04〉埠頭線と〈川05〉〈川07〉東扇島循環線は、ラッシュ時には急行や特急運転で駅と臨海地区を直結する。また〈川10〉水江町線はトロリーバス、〈川40〉渡田(わたりだ)線は市電の代替路線。100円運賃の川崎病院線は、川崎鶴見臨港バスとの共同運行となっている。
●日本映画大学
東京湾アクアラインが開通した1997年には川崎駅~木更津駅間の高速バスにも参入したが、前述の経営効率化のなかで04年に撤退した。
東海道本線と東急東横線の間には、工業地帯と住宅地域が混在。駅発と駅着、双方の需要があり効率的である。上平間営業所が担当する〈川73〉小向線は、管理委託による効果もあり、営業係数1位の高収益路線である。
東急東横線以北は住宅地域となり、通勤通学客の鉄道アクセスニーズに対応。丘陵地も多いことから、短距離移動でも路線バスへの依存度が高い。井田営業所が担当する〈溝25〉〈原01〉久末団地線は、横浜市に乗り入れている。
●琴平下
一方、井田営業所管内には井田病院、鷲ヶ峰・菅生営業所管内には聖マリアンナ医大病院が立地。多くの系統が乗り入れ、通院の足として利用されている。
武蔵小杉駅近くには「等々力陸上競技場」と「とどろきアリーナ」があり、イベント開催時などには臨時直行バスも運行。登戸駅近くには「藤子・F・不二雄ミュージアム」が開館し、専用車両が直行運転で結んでいる。