1つの停留所を取り上げるバス停散策。今回は西鉄バス北九州の香月営業所停留所だ。北九州市南西のはずれ付近にある香月営業所は、国鉄香月駅の跡地だ。そんな香月駅の歴史も交えてお伝えする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】バス停散策・西鉄バス北九州「香月営業所」(13枚)画像ギャラリー国鉄駅は市内駅扱いではなかった
香月営業所のある場所は、もともと国鉄香月線の香月駅があった場所だ。香月線は筑豊本線の中間駅から分岐する、3.5kmの典型的な炭鉱路線だった。石炭積み出しの貨物線として開業した後に旅客化したが、炭鉱の閉山により先に貨物輸送が廃止され、第一次特定地方交通線に指定され真っ先に廃止された。
香月線の3駅は中間駅を含めて中間市に所在したが、香月駅だけは北九州市八幡西区にあった。そのため北九州市内の駅からは直接到達することができず、北九州市内駅には含まれなかった。飛び地駅として長距離乗車券で北九州市内発着であっても香月駅では乗降できなかった。
そんな香月駅構内は炭鉱路線の名残で敷地は広く、貨物列車が入れるほど長かった。その跡地に香月営業所ができたので、かなり細長い敷地になっているが、バスの収容能力は抜群だ。
香月線の名残が今でも
香月線の線路跡はほぼ道路として整備され、所々は遊歩道として残されている。遺構がないわけではないが、探すのは容易ではないほど年月が経過してしまった。香月営業所停留所には香月駅の駅名標と当時の経緯を記した説明板があり往時をしのぶ。
香月営業所の前身は小嶺営業所。現在は敷地を減らし小嶺車庫として営業所の機能はなく、バスの折り返し転回場として残る。
小嶺営業所はかつて多くの路線を持ち、営業所発着の黒崎・戸畑・小倉方面のバスや、黒崎から小嶺営業所を通り、八幡西区南部へのバスがひっきりなしに走っていた。現在では路線もだいぶ縮小され、または統合されてしまったが香月営業所がその機能を引き継いでいる。
行くなら黒崎バスセンターからがベスト!
営業所にあるバス停なのでバスの便も多く、行きやすい上に鉄道駅との連絡も多い。しかし実際には鹿児島本線・黒崎駅(西鉄黒崎バスセンター)から香月営業所行きに乗車するのが最も現実的だろう。黒崎駅以外の駅や電停からは便数が少なく、入出庫のための便しかない路線もあるからだ。
スマホで購入できる西鉄バス北九州の24時間券ならば、わざわざ香月営業所に行き「香月駅」を見物してから、別の路線に乗り換えて知らないところに出発しても運賃の無駄がなく面白いかもしれない。
【画像ギャラリー】バス停散策・西鉄バス北九州「香月営業所」(13枚)画像ギャラリー