スーツケース100個も余裕!? 高速バスのトランクルームが想像以上に広かった

スーツケース100個も余裕!? 高速バスのトランクルームが想像以上に広かった

 長距離移動や空港アクセスなどに重宝されるバスといえば高速車と貸切車だ。これらの車両には、乗客の荷物を収納するための大きなトランクが客室の下に存在する。これは高速バスに乗ったことのある人なら多くの人が知っているハズ。

 だが、あのスペースの広さってどれくらいなのか? 無数にスーツケースなどが格納されていくイメージだが、その真相はいかに。

文・イラスト・写真:中山修一

【画像ギャラリー】バスのトランクにスーツケースを並べてみると?(3枚)画像ギャラリー

用途で全然違う!! トランク容量のサイズって?

日野セレガの12m貸切車。客室の下にトランクが設けられている
日野セレガの12m貸切車。客室の下にトランクが設けられている

 大型高速車と貸切車では、前輪と後輪の間にトランクのスペースを設けるのが各メーカーで主流だ。

 昔の車種にはハッチ式のトランクの扉もあったが、これだと扉の前を広く空けておく必要が生じるため、最近は手前に少し引いてから上方向にスライドして上げる構造の扉が良く見られる。

 車体の見た目が似ていても、バスの主な運用目的によってトランクの容量が異なる場合もある。

 日野自動車の大型高速・貸切車「セレガ」を参考にすると、全長12mの観光向け・スーパーハイデッカーのトランクが、最も広い容積約10.2立方メートルだ。

 続いて全長12m観光向け・ハイデッカーが約8.6立方メートル、全長9m観光向け・ハイデッカー ショートが約3.6立方メートル、全長12m夜行高速バス向け・スーパーハイデッカー/ハイデッカーでは約4.0立方メートルとなっている。

 ショートタイプでトランク容量が減るのは想像できるものの、夜行高速バスのトランクが異様に小さいのは、トランクスペースの隣にトイレと、中間に乗務員用の休息スペースが設けられている関係だ。

 12m観光向け・スーパーハイデッカーとハイデッカーのトランクの幅は同じなのだが、スーパーハイデッカはトランク内の天井が少し高いため、その分容積が大きくなる。

機内持ち込みサイズが120個も!? 有能すぎるトランクスペース

 次に、飛行機の機内持ち込みができる、3辺の大きさが115cm(50×40×25cm)のスーツケースを用意。キャスターやハンドルは含まないとして、同じものが最大いくつ入るか見てみよう。

 上記サイズ相当のスーツケースを体積で表すと0.05立方メートルになる。これを12mスーパーハイデッカーの10.2立方メートルのトランクに積んだ場合、10.2÷0.05=204で204個(!)入る計算になる。

 もちろん204個などという結果は、トランクと荷物同士の間に1ミリも隙間のない、液体のような状態でトランクを満たした場合なので、現実では絶対に有り得ない。

 続いてトランクとスーツケースの縮尺モデルを作画して、平面上でシミュレートする方法に切り替えてみた。

 スーツケースの縦置き・横置きで積める数が変わってくるが、まずはスーツケースの脇腹にあたる部分を下にしてトランクに並べて行くと、下記の数が収まった。

12mスーパーハイデッカー:60個
12mハイデッカー:60個
9mハイデッカー:24個
12m夜行高速車ー:18個

 この置き方だとトランクの高さにまだ余裕があるため2段重ねもできる。そうなるとスーパーハイデッカやハイデッカの荷物許容量は何と120個!!

 ただし、スーツケースを積み重ねるような置き方はそれほどやらないので、1段に限定しておくのがより自然だろう。

 スーツケースのキャスターが付いた面を下にして並べた場合は以下の通り。

12mスーパーハイデッカー:75個
12mハイデッカー:75個
9mハイデッカー:30個
12m夜行高速車ー:25個

 この並べ方をすると、より多くのスーツケースがトランクに入る。もちろん、積もうと思えば積めるかも、くらいの話に留まるが……。

 乗客が持ち込む荷物の大きさや数は軒並みバラバラなのと、バスのトランクを車両の整備用品置き場に利用している場合もあるため、シミュレート結果の半分〜それ以下が実際の許容数と考えておけば良さそうだ。

乗合高速バスでは、設備の都合でトランクが小さめの車両もある
乗合高速バスでは、設備の都合でトランクが小さめの車両もある

 荷物を積みきれなかった時はどうするのか気になるところだ。多くのバス事業者では、当日の状況によっては積めない可能性がある旨を事前に断っておくことで対応としているほか、バスを貸し切る際はあらかじめ荷物の量を伝えておけば可能な限り調整してもらえる。

 もっとも、預け荷物の積み残しは頻繁に起こるケースではないようで、大抵は何だかんだで帳尻が合ってしまうのが実情だろう。

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