最近、古いバスの動態保存が話題になっている。昭和から平成にかけて、私たちの生活の足として活躍したバスたちが、動く状態になって甦っているのだ。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■3軸の超希少車種が甦る
ここ何年かの間で特に大きな話題となったのは、2022年に奇跡の復活を遂げた、旭川電気軌道の三菱ふそうMR430という古いバスだ。
丸っこい車体は、前2軸/後1軸の3軸によって支えられており、これだけでも非常に珍しい。縦目の丸いライトや、斜めになった側窓など、個性の塊のようなデザインが目を引く。
当時の旭川バスが、朝夕ラッシュ対策で1968年に3台だけ導入したもので、1978年まで運行され、そのまま永い眠りについていた。
その後、会社創立100周年の記念事業の一環として、走行可能な状態に復元された。もちろん、現存する唯一のMR430であり、よくぞ復活できたものだと思う。
現在、普段は車庫内で大切に保存されているが、イベントなどでは走行する姿を拝むことができる。
■かつてどこでも見られたあの車両
国際興業バスのいすゞBU04の復活も話題となった。BU04は、1973年から1980年に掛けて製造された大型路線バスで、動態保存されている3491号車は、1980年に製造され、赤羽営業所に配属された。
1993年に廃車となった後、岩手県交通へ譲渡され、2005年に廃車となった。その後はトミーテックの手に渡り保存されていたが、国際興業が再度譲り受け、完全レストアして営業ナンバーを再取得した。
BU04も、かつては各地でその姿を見ることができたが、今や営業用として残っている車両は皆無となって久しかった。
旭川電気軌道のMR430と同様、バス会社自らの手で復活を遂げ、営業用ナンバーを再取得したことは大変喜ばしいことだ。
■今も現役の路線バスとして営業中
イベント用ではなく、今もリムジンバスとして現役で活躍しているのが、福島交通の三菱ふそうMS726(初代エアロバス)だ。
1991年に導入された同社は、元々は貸切車両として導入されたもので、2010年に高速路線バスへ転用された。
その後も、廃車や除籍になることなく、2025年にはリニューアル工事が行われ、35年が経過した現在も空港リムジンバスとして乗客を運び続けている。
福島交通には、他にも三菱ふそう初代エアロスターMP218が複数台活躍しており、同社の古い車両を大切に使い続けるという取り組みは称賛に値する。
■観光路線で活躍する海外の旧型車
海外でも、古い車両を大切に保存し、動態にレストアしている例は多く見られる。民間の愛好家団体が保有している車両もあれば、日本の例のようにバス会社がレストアし、維持管理している車両もある。
中には、古い車両を観光資源の一つとして位置付け、それらを使用して市内を周遊する路線バスとして使用している都市もある。
筆者の住んでいるチェコの首都プラハは、バスやトラムといった公共交通機関そのものを観光資源の一つとして、交通局自らが積極的に古い車両の動態保存に取り組んでいる。
これらの保存車両は、イベントで使われるのはもちろんのこと、春から秋にかけての週末には、市内を周遊する観光路線にも充当される。
乗車には通常チケットとは異なり、観光路線専用の特別チケットが必要で、1回乗車は150CZK(約1125円)、終日何度も乗車可能な24時間券は400CZK(約3000円)となかなか良い値段だ。
とはいえ、町中のみならず郊外の丘陵地帯へも足を伸ばし、1回の所要時間は約37分となかなか乗り応えがある。
トラムの観光路線と共通のため、24時間券を所持していれば2路線あるトラムの観光路線にも乗車可能だから、それであればこの値段も納得ができる。
ポーランドのポズナニにも、週末だけ運行される100番という特別路線がある。ポズナニ中央駅から動物園まで、途中19個の停留所を経由しながら約35分で結ぶもので、やはり古い路線バスが使われている。
1回乗車は7PLN(約301円)、24時間券は12PLN(約516円)で、こちらはプラハと比較するとかなり良心的な価格だ。
プラハと同様、トラムの観光路線と共通運賃なので、こちらも24時間券を買えば観光路線に乗り放題となる。
古い車両は、動態保存のためのレストアだけでも大変で、故障のリスクもあるからなかなか難しいが、日本でもお金を払えばいつでも旧型車両に乗れる、という夢の観光路線が誕生しないものか、と妄想してしまった。
今も旧型車で通常営業を続ける福島交通には頭の下がる思いで、この先も営業を続けられるよう頑張ってもらいたいものだ。
【画像ギャラリー】ミュージアムクラスの古い路線バス車両(9枚)画像ギャラリー


















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