路線バス車両は意外と長持ちだ。特に地方では、排出ガス規制も都市部ほど厳しくないという部分もあり、1台のバスを大切に乗る傾向にある。いまから12年前の2012年に、筆者が北海道の旭川で撮った路線バス、同じものが今も現役を続けているのだだろうか? 気になってきたので追跡を試みた。
文・写真:中山修一
(当時の写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBをご覧ください)
■最近なようでけっこう昔な2010年代始め頃
今回見ていくのは、2024年現在の今から約12年前・2012年の夏に北海道の旭川駅前で撮影したバスの写真だ。
当時旭川駅は高架化工事が前年に完了して様変わりした直後。駅前はまだ工事中で、今やおなじみの「イオン」などはまだなかった。
デジタル写真は色味がまったく劣化しないため、写真だけ見ると大した年月は経っていないように感じる。
その一方で、2012年当時はiPhone4を普通に使っていた時代だと考えると、突如ものすごく昔に思えてくる。あのiPhone4も何年か前にバッテリーが膨らんでハマグリになってしまった。
さて、当時函館本線→留萌本線で増毛まで行く用事があり、列車の時間が来るまで駅前に立ってバスウォッチをしていた時に撮った写真の中から、ここでは3台を紹介していこう。
■1台目のバス:旭川電気軌道 旭川200 か232
最初のバスは、地元バス事業者の旭川電気軌道に所属する大型路線車。「a.bus」カラーと呼ばれる、シルバー主体に飾り文字を入れた、同事業者のノンステップ車に見られる標準色だ。
車種は日産ディーゼルの下回りに富士重工の新7E車体を合わせたもの。2002年に旭川電気軌道が新製した、生え抜きのクルマだ。
長尺車体で、前ドアの隣にかなり大きな「セーフティウインドウ」と呼ばれる安全確認窓が装備されているのと、引き戸式の中ドアに下部までガラスをハメ込んである点が特徴。
このクルマ、約12年経ってその後どうなったのか……どうやら今も旭川電気軌道の路線バスとして、日々活躍を続けているらしい。
■2台目のバス:旭川電気軌道 旭川22 か838
2台目は、ナンバーが2ケタなところからして、2012年当時でも結構クラシックな車両だったと分かる一台。
こちらも旭川電気軌道が自社で新製した日野ブルーリボン。なんと1994年式である。伝統的な同社の「赤バス」カラーで、ズラリと並ぶサッシ窓と、前面に掲げられた日野自動車のエンブレムが実に懐かしい。
年代的に行き先表示は巻き取り式の方向幕を使用。角目4灯ライト、ツーステップ、前・中扉どちらも2枚折り戸を取り付けた、なかなか特徴的なスタイルをしている。
さすがに1994年式となれば、2010年代のうちに引退してしまっただろう、と思いきや、こちらも依然現役を通している模様で驚いた。
■3台目のバス:道北バス 旭川200 か796
最後は、白地に緑のラインが愛らしい道北バスの車両。日産ディーゼル/富士重工の組み合わせで、1998年式のワンステップ車だ。オレンジLED行先表示器と、前・中扉ともに2枚折り戸を装備している。
標準仕様ノンステップ車が登場する以前の姿形をした、前世代のバスの形態である。ただし新製ではなく、元々西武バスに在籍しており、道北バスに来たのは2010年。撮影当時はまだ「新しい」車両だったと言える。
さてこのクルマはどうなったのか!? 1990年代の車両ながら、同車もまた現役とのことだ。このまま30年ランナーを目指してくれたら嬉しい。
2012年夏に旭川で撮った写真に写っていた路線バス。今の所、3台中3台とも変わらず使われている(らしい)、たいへん晴々しい結果となった。
そうなると、ネオクラシックバスを見るなら旭川駅前、な条件が今ちょうど揃っている貴重なタイミングかも!?
【画像ギャラリー】あの頃の旭川駅とその周辺(6枚)画像ギャラリー
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