「そこJR線で行くでしょ?」と思わせる場所に路線バスが通っていたりする、しかも長〜い距離の。そんなバスを見つけて乗ってみるのもまた楽しいものなんですよ。
文・写真:中山修一
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■もはや珍しい? JR線との競合長距離路線
北海道の道北エリア。ラーメンや動物園で有名な旭川と、もち米の生産量日本一を誇る名寄の街を繋ぐ代表的な公共交通機関に、JR北海道の宗谷本線がある。
宗谷本線の名寄は途中駅になっているが、その先の稚内まで行く特急を除き、名寄止まりの列車が多めに設定されている。
旭川〜名寄を公共交通機関で移動しようとなれば、真っ先に目が向くのはJR線なハズ。しかし旭川駅周辺のバス事情を軽く見回してみると、乗り換えなしで名寄まで行けてしまう、距離感からして何やら普通っぽくない存在感を放つ“普通の”バスが出ているのに気が付く。
白地にグリーンのラインが入った車体色が印象深い、道北バスが運行する「名寄線」がそれだ。系統番号は2であるが、2“系統”ではなく2“番”と称するのがフォーマルな表現らしい。
名寄線は旭川駅前〜名寄駅前間83.8km(運賃三角表調べ・以下同)を結ぶ、一般路線バスとしてはなかなかの長距離ランナー。
運行区間がJR宗谷本線と競合関係にあり、なおかつ鉄道代替バスではない路線バスで、一度にここまでの距離を走るものは珍しいかもしれない。
■今は2番目です
この道北バス名寄線、過去には各停タイプの普通便と、速達タイプの急行便(1番)があった。急行便は走行距離がやや長い84.2kmで、最近の道北バスの一般路線バスでは最長と思われる。
しかし2023年10月に急行便が廃止されたため、現在は同社が沿岸バスと共同運行している「留萌線(84.1km)」にトップの座を譲り、名寄線普通便は現状2番目に長い路線、といったところか。
JR線との競合ではあるものの、旭川〜名寄間の所要時間で見ると特急54分、快速・普通1時間10〜30分程度に対して、路線バスは2時間38分と、さすがに鉄道が圧倒的に優勢だ。
運賃では、特急自由席利用で3,040円、普通・快速が1,890円。一方の路線バスは1,320円と、時間がかかる代わりに鉄道よりもリーズナブルになっている。
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