最近は乗り換え検索アプリが各地の路線バスにも対応して、土地勘のない場所でローカル路線バスを足代わりにするのも昔ほど大変ではなくなった。とはいえ膨大な路線数にのぼるバスゆえに、例外というのは必ずある。例えそこが有名観光地だったとしても!?
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、竜飛岬周辺を走るバスの現地撮影写真があります)
■海の向こうに北海道・足元に新幹線な場所
本州の北の端に位置する青森県。同県の北寄りには大きな半島が3つ突き出ていて、地図で見て左側が津軽半島、中央は夏泊半島、右側が下北半島になる。
このうち津軽半島には、北海道へと繋がる青函トンネルが通っており、さらに半島の北端部分に注目すると、1970年代にヒットした演歌で知られる、有名観光地の竜飛岬がある。
天気の良い日に竜飛岬を訪れると、雄大な津軽海峡を挟み、対岸の北海道のシルエットを眺めて楽しめる。
ほか、通り道が階段のみで車が通れない国道339号線、通称「階段国道」が同地の名物スポット。本州側の青函トンネル記念館も(一応)徒歩圏内だ。
■アクセス検索非対応な竜飛岬
そんな竜飛岬は、周遊観光バスの立ち寄りスポットに組み込まれていたり、景色の良さからドライブルートにもぴったりとあって、マイカーやレンタカーを使ってのお客さんが途切れなく訪れる印象。
では、公共交通機関で竜飛岬へ行こうと思った場合の足はどうなっているだろう。まず竜飛岬へはJR津軽線の蟹田駅から予約制の乗合タクシー「わんタク」が出ている。
それを使う手が第一に挙げられるが、ここではタクシーは除外して「バス」に注目してみよう。問題は竜飛岬方面へのバスがあるかどうかだ。
実はこの竜飛岬周辺、全部ではないにせよ乗り換え検索サービスに対応していない(2025年7月確認時点)ほうがむしろ普通らしい。
検索しても「タクシー」一点張りになったりと、満足な結果が出てこないゆえ、じゃあバスないの? と考えたくなる。
■バスでもちゃんと行けます
有名なのにバスで行けない観光地? そこは心配ご無用、ちゃんとバスが出ている。竜飛岬への最寄駅は、約14km離れたJR津軽線の「三厩駅」になる。
ただし、津軽線の蟹田〜三厩駅間が災害不通→そのまま廃止予定となっているため、実際の電車での最寄は、津軽線の「蟹田駅」もしくは、北海道新幹線の「奥津軽いまべつ駅」になる。それぞれの駅→三厩までの行き方を記すと……
(1)蟹田→【JR津軽線代行バス】→三厩
(2)奥津軽いまべつ→【津軽線代行バス または 今別町巡回バス】→三厩
……といった方法だ。
■ショッキングピンクが目印
続いて三厩〜竜飛岬間は、外ヶ浜町が運営する「外ヶ浜町営バス」が結んでいる。このバスは過去に運行していた青森市営バス竜飛線の代替路線(の末裔)にあたる。
最大の特徴は何と言ってもバスの車体色。ショッキングピンク1色のため、どれが町営バスの車かは見ればすぐに分かるはずだ。
昔は30人乗りクラスの中型汎用ミドルデッカー車が使われていたが、最近の主力はマイクロバスの三菱ふそうローザに変わったようだ。
竜飛岬方面への便は1日6往復。三厩駅でJR代行バスと今別町巡回バスに接続できるダイヤが組まれていて、本数こそ少ないものの使い勝手は良好。
前面助手席側に行先表示の掲示があり、「三厩駅←→龍飛埼灯台」と書かれているバスに乗ればOK。終点まで行って問題ない。
所要時間は時間帯によって30〜35分。均一運賃制が取られており、全区間利用しても1回100円なところが、町営らしさ溢れるお得感だ。
このように、本数の関係から狙う必要はあるものの、公共交通機関を使っての竜飛岬へのアクセスはそれほど難しくない。
なによりも町営バスを使うゆえ、例えば奥津軽いまべつ→竜飛岬までの場合、片道の運賃合計わずか300円で行けてしまうリーズナブルさが魅力。いちど試してみる価値アリだ!
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