パンタグラフ付きのバスだと!? フィンランド・ヘルシンキ空港バスウォッチが刺激的すぎた!!

パンタグラフ付きのバスだと!? フィンランド・ヘルシンキ空港バスウォッチが刺激的すぎた!!

 初めて訪れる国や都市へ行くと、色々なものが新鮮に見えて面白い。それは建物であったり人であったり文化であったり、そしてそれはまた、公共交通機関もまたしかり、である。

文・写真:橋爪智之
(フィンランドで見かけたバスの写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
構成:中山修一

■よく通るけど外には出ない国?

ヘルシンキ空港を発着するリムジンバスの一種。車両はボルボ製
ヘルシンキ空港を発着するリムジンバスの一種。車両はボルボ製

 北欧フィンランドの首都ヘルシンキ。国際線の乗り継ぎでヘルシンキ空港をよく利用するが、あくまで乗り継ぎだけで空港から外に出たことが無く、それは最近まで変わらなかった。

 2024年、日本へ帰国する際に乗り継ぎでヘルシンキ空港に立ち寄った際、待ち時間が長かったので、初めて空港の制限区域を出て、フィンランドへの入国を果たした。

 「空港での乗り継ぎは訪問国にカウントしない」という厳しいルールを自分に課す人も中にはいるが、ゲートを抜けて空港ビル出入口の“外”へ自分の足で降り立ったのだから、筆者の考えでは入国としてカウントしたい。

■表に出たならバスを見よう

 さて、表へ出たからには周辺散策でも一つやっておこう。とはいえ都心部への用事は特になかったのと、さすがに行って戻るには時間が少々足りなさそう。

 一方で、空港を出入りする交通機関を観察するくらいなら余裕は十分。それならば、と、駅で空港連絡鉄道の様子を眺めた後、そのまま地上のバスターミナルへ向かった。

ヨーロッパでよく見かけるお馴染みのメルセデスベンツ・シターロ
ヨーロッパでよく見かけるお馴染みのメルセデスベンツ・シターロ

 空港を出入りしているバスを眺めるのは、日本を含め、どこの国へ行ってもよくやっている楽しみの一つ。このフィンランドでも同様に、どんなバスが顔を見せてくれるのかチェックする運びだ。

■ボルボとスカニア

 北欧の大型車と言えば、ボルボやスカニアといったメーカーを思い浮かべる。いずれもスウェーデンを代表する自動車会社で、フィンランドの会社ではないとはいえ、北欧で真っ先に思い浮かぶブランドだ。

 ボルボは言わずもがな、乗用車などでもおなじみだが、大型トラックやバスなどの商用車のメーカーとしても有名だ。乗用車部門は2010年にボルボ・カーズとして売却され、中国企業の傘下になっている。

 一方のスカニアは、同じくスウェーデンの重工業メーカーで、トラックやバス、産業用ディーゼルエンジンなどを製造している。

 日本でも、都営バスに導入されたフルフラット車両(シャーシがスカニア製で、ボディはオーストラリアのボルグレン製)でその名を知った人もいると思う。

■パンタグラフの付いたバス!?

 いざ、ヘルシンキ空港のバスターミナルへ足を運んでみると、早速ボルボの連節バスが停車しているのが見えてきた。

 だが、運転席のすぐ後方にちょんまげのようなものが飛び出ていて、電灯のように道路上へせり出している装置に繋がっている。

充電中のボルボバッテリーバス。570番は郊外を走るが走行距離は20キロ近い
充電中のボルボバッテリーバス。570番は郊外を走るが走行距離は20キロ近い

 車体にはコンセントのロゴが……そう、これは充電式バッテリー車両、電気自動車である。起終点で充電を行い、営業中はバッテリーで走行するもので、ちょんまげのようなものはいわゆるパンタグラフである。

 570番という系統番号を調べてみたら、空港のあるヴァンター(ヘルシンキの郊外に位置する)周辺を走る郊外路線で、運行距離はざっと見て15~20キロくらいのようだ。

 1回の充電で、どのくらいの航続距離があるのか、気になるところだ。空港に到着したバスが、ちょうどパンタグラフを上昇させているところを見掛けた。

 電車と違って線路があるわけではなく、充電装置の接点も小型で許容範囲が狭いため、ピンポイントな位置決めが重要な印象で、白線に沿ってきちんと停車させるドライバーの技量が試されそうだ。

次ページは : ■今もディーゼル車勢が強い?

最新号

【12月20日発売】巻頭特集は「岩手県交通」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン127号!!

【12月20日発売】巻頭特集は「岩手県交通」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン127号!!

バスマガジン Vol.127は12月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、岩手県交通を特集。続く特集では、バスの用品やパーツなどを開発している企業とアイテムを紹介する[バス用品探訪]ではバスの交換用ヘッドライトを紹介。そしてモノクロページの特集で注目していただきたいのが、[絶滅危惧種になっているアルピコのバス]だ。そして後半カラーでは、本誌の強力な連載[終点の情景を求めて]に注目。今号は京都京阪バスの「猿丸神社」を訪ねる。