全国にある空港と街を結ぶのがエアポートバスだが、その運行されるルートや本数は空港の立地や利用者の使い方によって千差万別だ。
そんなエアポートバスのかつての姿を振り返る本企画、今回はエアポートバスといってもいわゆるアクセスバスではなく、空港のターミナル同士を結んでいる無料バスにスポットを当ててみたい。
空港も成田や羽田のように大きくなると、複数のターミナルがあり、ターミナルとターミナルが遠く離れてしまうこともある。そんなターミナル同士を結んでいるバスである。
これらのバスは無料なので、空港運営者が近隣のバス会社に運行を委託、貸切バスの扱いとなっている。
文・写真/谷川一巳
※2018年3月発売「バスマガジンVol.88」より
【画像ギャラリー】空港ターミナルバスには路線車からの転用や連接バスもある!!
成田空港では3系統を運行
今回は2018年初頭の空港連絡バスを振り返る。
成田空港には、おもにANAなどが発着するターミナル1、おもに日本航空などが発着するターミナル2、そして昨今流行の格安航空会社ことLCCが発着するターミナル3と3つのターミナルがある。
連絡バスは、この3つのターミナルを循環する路線、ターミナル1と2を循環する路線、ターミナル2と3を循環する路線、計3路線がある。
ターミナル2と3を結ぶ路線は、徒歩でもアクセス可能な距離を運行し、ターミナル3が貨物地区の制限エリア内にあるため、厳重な警備のゲートを越えて運行し、距離のわりに時間を要する。
しかし、ターミナル3は近年になってできたLCC専用のターミナルで、ターミナル1と2には鉄道でアクセスできるのに対し、ターミナル3には鉄道駅がないため、この無料バスは重要な役わりを担っている。
当時運行していたのは京成系列の成田空港交通で、このバス会社は成田空港が開港した当初、京成電鉄の成田空港駅と、空港ターミナル(現在のターミナル1)が1キロほど離れていたので、その間を結んだのが始まりで、この頃は有料路線であった。
ちなみに、その頃の成田空港駅が現在の東成田駅で、前述のターミナル間連絡バスのうち、3つのターミナルを結ぶ路線とターミナル1と2を結ぶ路線は、東成田駅を経由、ここではおもに空港勤務者が乗降する。
成田空港交通はその後、ターミナル2が完成したことでターミナル間連絡バスはじめ、空港バス、現在は京成バスの一員として夜行バスも運行している。
羽田空港では系統によって車両デザインが異なる
羽田空港では、おもに日本航空国内線が発着するターミナル1、おもにANA国内線が発着するターミナル2、そして国際線ターミナルとあり、3つのターミナルを循環する路線と、国内線のふたつのターミナルを循環する路線の2系統がある。
2018年初頭に運行していたのは京急系列の羽田京急バスで、ふたつの系統はそれぞれ異なるデザインの車両で運行し、国内線ターミナル間はホワイト基調、国際線ターミナルがらみはグリーン基調のデザインだ。ただし、車両運用の都合などで、大田区などの一般路線を運行する、いわゆる京浜急行バスデザインの車両が駆り出されることもある。
羽田空港の国内線ターミナルエリアと、国際線ターミナルは滑走路を挟んで反対側に位置するため、国際線ターミナルへは、滑走路の下を長いトンネルで抜け、無料バスとはいえ長い距離の乗車となり、バスは高速で突っ走る。