【バス運転士日誌】単独運行目前! もうひとつの大きな課題は運賃箱の扱い方だと?

【バス運転士日誌】単独運行目前! もうひとつの大きな課題は運賃箱の扱い方だと?

 臨時運転士として訓練を続けるバスマガジン記者の奮闘記。訓練や教育の最後の山場である社内審査試験「見極め」を受け、どうやら合格したようだ。これで一人で営業運転ができる社内的な資格を手に入れたのだが、いつからどの路線で単独運行を始めるのか?まだまだ懸念点はある。そのあたりの不安を吐露するのが本稿である。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■担当予定の路線はいったい?

車庫に並べられたバスは前日の入庫時から位置が決まっていて翌日の出庫順になっている
車庫に並べられたバスは前日の入庫時から位置が決まっていて翌日の出庫順になっている

 社内での見極め試験をパスしたようなので、明日からでも1人で営業運転ができるといえばできる。しかし心の準備も手順を復習する準備もできていない。ところで記者が担当する可能性のある路線はどれくらいあるのだろうか。

 フジエクスプレス東京営業所が所管する路線は、企業契約輸送のシャトルバスと港区のコミュニティバスである「ちぃばす」、渋谷の企業契約のシャトルバスを一般路線にしたバスと高速バスに大別できる。

 このうち高速バスは乗務できないので、訓練中に運転した芝浦と新宿のシャトルバス、渋谷の路線バスと港区のちぃばすのうち芝浦港南ルートということになるだろうか。

■営業教習をしていない路線はどうする?

シャトルバスには運賃箱がないのが大きな違いの一つ
シャトルバスには運賃箱がないのが大きな違いの一つ

 この中で実際に旅客を乗せて営業教習をしたのはすべてシャトルバスで、これには共通点がある。運賃箱がないということだ。これらは企業との契約に基づく貸切輸送や特定輸送なので、運賃を収受することがない。車両もそれ専用のバスが運用に入るので運賃箱がないのだ。

 ところがちぃばすは1乗車100円の運賃が必要なので、当然だが運賃箱が必要だ。ということは実際に乗客が次々に乗車してくる路線で営業教習をしていないので、運賃収受に一抹どころか山ほど不安があるのが正直なところなのだ。

■運行管理者に懇願!

スタフと行路表でセットだが日中の基本は毎時同じのパターンダイヤ
スタフと行路表でセットだが日中の基本は毎時同じのパターンダイヤ

 このまま黙っていては、翌出勤日から単独運行に出されかねないので、運行管理者にせめてちぃばすで営業教習をさせてくれと懇願した。運行管理者は笑いながらわかりましたと言ってくれて、次の出勤日にはちぃばすのベテラン運転士が教官としてついてくれた。

 これでしばらく経験を積んで不特定多数の旅客を相手に運賃収受やICカードの処理をこなせば問題なく運行できるだろうとひと安心した。

■シャトルバスとはひと味違う路線バス

運賃箱に金庫をセットして誤乗防止用の路線名シートを貼る
運賃箱に金庫をセットして誤乗防止用の路線名シートを貼る

 ところで港区のコミュニティバスであるちぃばすは、コミュニティバス御用達の日野ポンチョや似たような大きさのEV車もある。しかし芝浦港南ルートは日野レインボーの中型車が運用に入る。

 シャトルバスもレインボーなので、記者の場合は基本的に全長9m、全幅2.3mの中型車しか運転しない。よってバスの運転自体は、細かい路地に入っていくコミュニティバス独特の路線の引き方はあるものの、ハンドルを回す回数が多いだけで不安はない。

 もっとも異なるのは、乗降場所があまりにも多いことと、路線延長が長いということだろうか。次の休憩時間まで運転する時間そのものはどの路線に入っても変わるものではない。しかしシャトルバスでは1周20分程度の路線を何周もして概ね2時間から3時間程度で休憩する。

 しかし港南ルートでは1周が2時間もかかるので、1周で休憩に入るのだ。連続運転時間はどちらも変わらないのだが、同じところを周回軌道の如く回るのと、異なるバス停に停車しながらというのとでは違うのが不思議だ。

運行前の点検も含めて出庫前にやることは路線バスの方が多い
運行前の点検も含めて出庫前にやることは路線バスの方が多い

 そしてバス停が多いということは、乗降機会が多くそのたびにドア扱い、運賃収受、放送扱いを全停留所で行う必要がある。これを「しんどい」と感じるのか「変化がある」と感じるのかは個人差があろうが、こればかりは記者が路線の希望を出して乗るわけではないので、くじ運とでもいうべきだろうか。

 ただし、臨時運転士の記者の場合は、土休日にシフトを入れた場合は港南ルートになる可能性が高い。理由は簡単で、土休日は多くのシャトルバスが走らないので、港南ルートを担当するしか選択肢が残されていないのだ。

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