進化と先進さを取り入れてきた名車・「ブルーリボン」と「レインボー」を当時のカタログで見る

進化と先進さを取り入れてきた名車・「ブルーリボン」と「レインボー」を当時のカタログで見る

 1983(昭和58)年の排出ガス規制対策車、いわゆる[P]車の世代にあたる、日野のレインボー、ブルーリボンの貸切タイプに特化したモデルを紹介しているのが今回のカタログだ。

今回の車両:日野レインボーAC/RR・RJ 日野ブルーリボンHT・HU/RT・RU

(記事の内容は、2024年6月現在のものです)
執筆/バスマガジン編集部 カタログ提供/難波 有
※2024年6月発売《バスマガジンvol.125》『懐かしバスのお宝カタログ』より

■スケルトンボディが完成しつつある時代にすでに流れるようなボディを纏っていたバス

3-4ページの見開きからレインボーの紹介が始まる。まずはレインボー「AC」から
3-4ページの見開きからレインボーの紹介が始まる。まずはレインボー「AC」から

 このカタログにおけるレインボーにはまだ「AC」のグレード名で小型扱いのキャブオーバー車もラインナップされており、運転席脇のエンジンメンテナンス用リッドや、運転席右側のドライバー用の扉が印象的だ。

 レインボーではほか「RJ」と「RR」が載っており、エアサスの「RR」をトップグレードとして紹介。「AC」とは一線を画すかのように別モデル(?)としているかの様子だ。

 カタログの最初のページでは、“これがスケルトンバスの主流だ”と語っているが、1980年ころにレインボーRJとして登場したスケルトン車がだいぶ定着したかのように、そして日野こそがスケルトンの先駆けであるということをアピールしているかのようだ。

 カタロク写真もバブル期前夜であることを象徴しているかのように、テニスウェアの女性がラケットを持ったまま乗車、乗降しているシーンで飾られており、中型の「RR」「RJ」にはグレード名に「デラックス」を用いて高級感と快適性を強調。優雅な乗り味のバスであることを印象付けている。

 エンジンは小型の「AC」は145psを発生する直6 5・8L。コラムから伸びるレバーで操作する排気ブレーキを装備する。「RR」「RJ」は175psを発生する直6・6.7L。1000〜3000回転近くまでのパワーバンドを持つ、優れたユニットだった。

■高速化の時代を見据えていたからこその高出力エンジン

ブルーリボンも、レインボーと同じく4ページにわたって紹介されている
ブルーリボンも、レインボーと同じく4ページにわたって紹介されている

 一方のブルーリボンも、このカタロクではトップドアの貸切(観光)タイプ車に特化して紹介されている。いずれの車種グレードももちろん、「ブルーリボン」の名を持つことからわかるように、時代初期とはいえスケルトンボディを持つ、スタイリッシュなバスとして紹介されている。

 送迎などの貸切ニーズに主眼を置いたRT22、RU22、HT22、HU22にはいまでは逆に珍しくなったと言える11m超のボディ車がラインナップされており、RU60とRU63など観光車の12m車には全長ではやや及ばないものの、定員で言えば85名という大量輸送を実現している。

 このカタログでは、エンジンも強力なラインナップであることを強くアピールしている。貸切タイプでは220ps、225psに加え、トップグレードのものは270psを発生する。現在の車両に匹敵するパワー感で、排出ガス規制の違いがあるとはいえ、なかなか強烈な布陣だ。

 そしてパワーで一線を画すのはやはり観光仕様にHT27、HU27とRUだ。カタログのコピーにも“高速ツーリングコーチ”とうたっていることからも、快適でゆとりの走りのためであると同時に、高速走行にもポイントを置いている仕様だったわけだ。

 その出力は270ps、300psとトップグレードは330psだ。スケールも突出しており、排気量は16L、シリンダーレイアウトはV8!! HT27を除いてエアサスを装備するなど、設計・設定の思想が先進的だ。

 流麗なボディはスケルトン構造がすでに熟成していることを実証しているかのようで、フルデッカーボディにはオプションで車両先端天井部にパノラミックルーフを装備した“フルデッカーII”も選べた。

 現在のセレガにつながる“流麗”な観光・高速車のコンセプトは、このブルーリボンの時代にすでに確立していたと思える。

【画像ギャラリー】現在の“セレガ”にも繋がるコンセプトを持っていたレインボーAC/RR・RJ&ブルーリボンHT・HU/RT・RU(17枚)画像ギャラリー

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