何気なくWebでマップを眺めていると、「えっそこバス通ってるの?」と思わせるような、人里離れた場所にバス停を見つけることがある……はてさてその場所、どんなところだろう?
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、群馬県端っこバス停しらべの現地撮影写真があります)
■気になる案件:群馬県「大清水」バス停
今回気になったバス停は、群馬県にある「大清水」という停留所で、読みは“おおしみず”。そういえば昔こんな商品名のミネラルウォーターがあったっけ。
「大清水」停留所は、街と街の間を繋ぐ主要道から分岐して、山奥のほうにひたすら1本の国道が延びていき、その国道が途切れる端っこに置かれた、マップで見る分には物凄い終着感を漂わせるバス停だ。
車で来たら折り返すしか手立てがなさそうな所に置かれたバス停、ということはそのバス停がある場所に、バスを通す大義名分が成り立つだけの、特別な用途目的が何か隠れていそうだ。
■アクセス楽々な終着?
大変気になる存在に思えてきたところで、大清水停留所の様子を見に、ちょっと群馬県まで各駅停車で行ってきた。
どうやらこの大清水バス停、群馬県の関越交通が冬季を除いて毎日運行している一般路線バス「鎌田線」を使うと、JR線の駅から乗り換えなしで行けるらしい。
直通可能とはいえ、大清水行きの鎌田線はバスが向かう場所柄か、1日6本としっかりローカルなダイヤ設定が組まれているため、あらかじめ乗りたい便を狙っておく必要がありそう。
JR線の駅を始点にすると、上越新幹線の上毛高原駅始発と、上越線の沼田駅始発があり、これは好みや当日のスケジュールに合わせて選べばOKだ。
■JR沼田駅から大清水へ行く
当日はJR沼田駅前のバス停を朝9時台に出発する始発便に乗車した。沼田駅では結構なお客さんの利用があり、大清水って超人気スポットなの? と思った。
ところが、バスが出発して3分ほど進んだ、沼田市街地の停留所でほとんどの人が降りていった。
沼田駅→沼田市街地の間は、約1kmのうち高低差が80mほどあり、平均すると80パミール・箱根登山電車並みの上り急勾配になる。
そのため、歩いていくには些か根性が要るということで、極短距離ながらも鎌田線を含む路線バスが重宝されているように思えた。
■理想的な山系路線
合わせて5人ほどに車内が落ち着いて、大型路線車のいすゞエルガで運行される鎌田線は、国道120号をメインルートに着々とコマを進める。
途中、埼玉県を本拠地に展開する餃子チェーンの運営による温泉旅館がある「老神温泉」の入口を経由しながら、沼田から29km先の「鎌田」を一旦目指す。
所要時間50分ほどで到着する鎌田では4分ほど停車。運転手さんに一言入れればトイレ休憩もOK。鎌田を出ると国道120号を離れ、いよいよ大清水へとつながる国道401号に入る。
マップで眺めていた段階から、山の方へ行くバス路線だろうと思っていたものの、予想を裏切らない山系路線の景色が続き、車窓に釘付けだった。
国道401号のルート上には、有名な尾瀬への入口となる「尾瀬戸倉」が含まれていて、ここで残りのお客さんは皆降りて行き、そして誰もいなくなった。
尾瀬戸倉を過ぎると道幅も狭くなり、周囲を緑に囲まれた森のトンネルを抜けるようにして大型バスが進んでいく。
沼田を出発して1時間30分ほどで、終点の「大清水」バス停に到着した。走行距離46.5kmと、一般路線バスとしてはなかなかの距離を走った。運賃は2,596円。
また、標高を見ると沼田が330m程度と、それなりの高所ではあるが、大清水まで来ると1,180mまで高度を稼いでおり、終始上り坂が続く道筋だったのが見て取れる。
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