以前の記事でも紹介したが名鉄名古屋駅に隣接する名鉄バスセンターが周辺再開発のため2026年3月に移転される。それにともない、これまでの感謝を伝えるため「名鉄バスセンター「59年間ありがとうイベント」」と銘打ったイベントが開催されたので、その様子についてお届けする。
文／写真：東出真
編集：古川智規（バスマガジン編集部）
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■名鉄バスセンター
名古屋駅にやってきた。ここから通りに沿ってしばらく南へ歩いていくと、見えてくるのが名鉄百貨店のマスコット「ナナちゃん」、そして今回のイベント会場となる「Meieki Parklet」である。ここには以前「名鉄レジャック」という複合ビルが建っていたが閉館し、この8月に都市型公園の「Meieki Parklet」がオープンした。
開場前から多くのバスファンなどが集まり、開場の10時になるとそれぞれお目当てのブースへと向かっていった。入口では今回のために駆けつけてくれた富山県のキャラクター「きときと君」と長野県のキャラクター「アルクマ」がお出迎えしてくれた。ちなみに両県には名鉄バスセンターから高速バス路線がある関係だろう。
■基幹バスの「SORA」
会場内で最も存在感を放っていたのはバスの展示だろうか。3台のバスが展示されていた。まず長い列が出来ていたのが名鉄バスの基幹バスである。基幹バスとは名古屋市交通局の市バス、名鉄バスが共同運行している路線バスで、名古屋市中区の栄と南区の笠寺駅・星崎・鳴尾車庫バス停を結ぶ1号、名古屋駅から名東区の猪高車庫、栄から名東区の引山や守山区の四軒家、名鉄バスセンターから三軒家・藤が丘駅・トヨタ博物館前など郊外地域を結ぶ2号の2系統が運行されている。
バスは「基幹バス」と書かれた専用車が用いられており、展示車両は今年導入された燃料電池バスであるトヨタ「SORA」だ。まだ市内で見かける機会は少ない車両ということもあり、車内見学には多くの人が並んでいた。筆者も車内を見るため並んでみたが、現代風なデザインで座席周りもすっきりとしていて、座っても足の置き場に困るということもなさそうだ。
中扉の辺りにはモニターがぶら下がり、ここでもバス停の情報などが確認できるようだ。座席横にはコンセントの設備があるなど路線バスとはいえ、電気車ならではの設備が標準化されてきているのを感じた。
車内にも車体にも燃料電池バスということで「FUEL CELL BUS」と「H2水素」の文字があちこちでアピールしている。この路線ではいすゞエルガEVやBYDのK8が投入されているが、今後環境に優しいといわれる車両が増えていくことだろう。
■出光リニューアブルディーゼル
隣には名鉄バスの高速車が展示されていた。側面や後部には文章が書かれており普通のバスというわけではなさそうだ。このバスは出光興産が開発した次世代バイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル」を使って走るバスで、公道での実証実験が4月から始まっている。
この燃料は廃食油や植物油等の油脂系原料に水素化処理などをして製造する軽油の代替燃料だ。燃焼時にCO2を排出するが、原料の植物が成長過程でCO2を吸収するため、軽油対比でのCO2排出量は実質ゼロという仕組みだ。
この燃料を名鉄エリアパートナーズを通じて名鉄バスに供給し走行する。現在、名鉄バス津島営業所に所属しており、名古屋・長島線（名鉄バスセンター～長島温泉）で1日最大4往復運行している。走り出して半年以上経過しているので走る姿を見た人もいると思うが、地球に優しい、環境に配慮した車両ということで展示車両に選定されたようだ。
あいにく車内の見学は不可ということだったが、バスの向かい側には出光興産のブースもありパネルによる説明もあった。
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