年間運行48日だけの県境越え系路線バス!! 関越交通「湯元温泉線」が激レア感炸裂だぜ!!

年間運行48日だけの県境越え系路線バス!! 関越交通「湯元温泉線」が激レア感炸裂だぜ!!

 全国に25,000以上あると言われる路線バスの中で、都県境を越える一般路線バスとなれば、極端なまでに数が減る。そんな県境越えバスの様子を見に行くシリーズの第19弾目くらいに訪れたのは、群馬県/栃木県をダイレクトに跨ぐ、関越交通「湯元温泉線」だ。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、関越交通湯元温泉線の写真があります)

■山が隔てる群馬県と栃木県の境目

群馬県片品村の鎌田バス停
群馬県片品村の鎌田バス停

 群馬県と栃木県は隣り合わせの位置関係にあるが、平地で繋がっている部分は少なく、両県が面する大部分を山が隔てている。

 そんな環境の中、日光白根山をはじめ標高2000m級の山々が聳える北部に、群馬県〜栃木県の間を山越えで繋ぐルート・国道120号が通っている。

 国道120号のうち、県境のかかる金精峠と呼ばれる区間が冬季閉鎖されるため、通行可能な時期が限られる希少性に目を引かれるところであるが、なんとこの国道120号と金精峠を経由して、群馬県〜栃木県をシームレスに結ぶ県境越え系路線バスが通っているのだ。

■関越交通「湯元温泉線」

 両県を山方面からアプローチする県境越え路線バス……群馬県の民営バス事業者・関越交通が運行する「湯元温泉線」がそれにあたる。

日野ブルーリボンIIで運行される訪問当日の湯元温泉線
日野ブルーリボンIIで運行される訪問当日の湯元温泉線

 湯元温泉線は、群馬県の北北東・片品村にある「鎌田」停留所と、奥日光とも呼ばれる栃木県の「湯元温泉」停留所の間、およそ36kmの区間を結ぶ一般路線バスだ。

 路線名は湯元温泉線であるが、バス停の時刻表などには「片品尾瀬・日光白根山ロープウェイ・湯元温泉」と、バスの主な経由地が路線名の代わりに記されていることもある。

■48/365日の極レアさん!?

 群馬県側/栃木県側ともに、鉄道駅から遠く離れた場所同士を繋ぐ、極めてディープなエリアを受け持つところに、県境越え系バスの希少性に増して物珍しさを感じる。

時刻のスペースを贅沢に(?)使用した湯元温泉線の時刻表
時刻のスペースを贅沢に(?)使用した湯元温泉線の時刻表

 それだけでなく、運行形態もまた相当異色な設定。1日3往復という少なさに加え、バスが走るのは土日祝のみと超極細。

 しかも運行期間が6〜10月までに限定され、2025年は年間運行日数が48日しかない極レアな存在である。

■一途に峠を攻めるプロ

 湯元温泉線を利用しようとなれば、時刻をしっかり狙ってから臨むのが無難なところ。群馬県側から向かうとして、始発の「鎌田」停留所へは、JR上越線の沼田駅から関越交通の鎌田線で50分ほど。

 現地訪問時、湯元温泉線には中型路線車の日野レインボーIIが使用されていた。中乗り・前降りの整理券運賃後払い方式で、交通系ICカードも使えて便利。

出発まもなくして山越えが始まる
出発まもなくして山越えが始まる

 バスが出発すると、鎌田停留所のある片品村の主要道でもある国道120号にすぐ入り、ほぼ道なりに進んでいく。

 鎌田の標高は約800mあり、乗車時点で結構な高所まで来ているのだが、進む先に聳える2,000m級の山を越えるべくダイナミックな上り坂が続き、峠攻めをする力強さが直に伝わる。

■ディープな寄り道

 30分強進むと、ゲレンデやキャンプ場ほか山遊びの各施設が揃う「日光白根山ロープウェイ」の駐車場脇に入り、ここで4分停車。

広々とした日光白根山ロープウェイ
広々とした日光白根山ロープウェイ

 その後、また上り坂を走り始めるが、途中で国道120号から一旦外れ、昭和初期に水力発電のダム湖として活用が始まった天然湖・丸沼の奥にある丸沼温泉に立ち寄る。

クネクネ感がたまらない丸沼温泉への1本道
クネクネ感がたまらない丸沼温泉への1本道

 丸沼温泉へと続く道は終端が行き止まりのため、往復4kmの寄り道ルート。曲がりくねった狭隘区間をテクニカルに走り抜け、美麗なレイクビューをささやかに楽しませつつ、迫力に満ちた走行シーンを提供してくれる。

次ページは : ■緑をかき分け栃木県に迫る

最新号

【6月23日発売】巻頭特集は「会津乗合自動車」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン129号!!

【6月23日発売】巻頭特集は「会津乗合自動車」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン129号!!

バスマガジン Vol.129は6月23日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、会津乗合自動車を特集。同社は福島県の約4割の面積を占める会津地方を営業区域とし、路線は会津盆地の若松・坂下・喜多方を拠点に、平野部の住宅地域から中山間地域へ広がるほか、東部の猪苗代・郡山湖南地区と南部の田島地区にも路線を有している。