1989〜2006年の間だけ存在した、北海道の三セク鉄道「ふるさと銀河線」。鉄道廃止後はいわゆる代替バスに転換、2つのバス路線が元・ふるさと銀河線の行程を繋いでいる。その一つが十勝バスによる「17系統 帯広陸別線」だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、十勝バス17系統の写真があります)
■代替バスの名手・十勝バスの郊外線
帯広エリアを中心に路線バス網を広げる十勝バスは、国鉄広尾線や士幌線、北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線と、鉄道代替バスを複数手がけるバス事業者でもある。
今回紹介する、ふるさと銀河線の代替バスである「17系統 帯広陸別線」は、帯広エリアを起点に、延長約140kmのふるさと銀河線のほぼ中間地点だった、陸別までの間を結ぶ一般路線バスだ。
他の代替バス同様、ローカル路線の一種といえる様相で、便数は平日9往復・土日祝7往復のダイヤ設定。利用するには事前に乗りたい便をある程度狙っておくと安心なのも“お手本通り”な代替バスらしさを誘う。
17系統は帯広駅から真っ直ぐ向かって8kmくらい離れた場所にある、十勝バス本社南口が始発となっており、本社南口から47分ほどかけて、帯広市内をやや遠回りしながら帯広駅前バスターミナルに立ち寄る。
ふるさと銀河線の区間は池田〜北見であったが、JR帯広駅まで乗り入れてくる列車も若干あった。そのため17系統の代替バスの区間としては、感覚的に帯広駅バスターミナル〜陸別間が相当する感じだ。
■指定車両は特になし?
以前、17系統には日野レインボーHRの幅2.3m・長さ10.5mクラス、いわゆる「中型ロング車」と呼ばれるタイプが、半ば指定車両のようになっていたと記憶している。
2025年9月の訪問時点では、専任の車が用意されているわけではないようで、大型路線車の2017年式日野ブルーリボンが使われていた。
過去に貨客混載の実証実験が行われた際の貨物スペースがそのまま残されている、あまり見たことのない物珍しさを放つバリエーションだったのが実に新鮮。とはいえ同車も特に充当路線は決まっていないとのこと。
■三セク鉄道時代の面影があちこちに
帯広→陸別方向で見ていくと、17系統が出発して帯広市内を抜けると、内陸部を突っ切って帯広エリア〜北見エリアを1本で繋ぐ国道242号をメインルートに、幕別→池田→仙美里→足寄と、ふるさと銀河線の通っていた経路をトレースするように進んでいく。
ふるさと銀河線の場合、鉄道遺構が記念モニュメント的に整備されているところが割とあり、バスに乗りながらも一部を観察して楽しめる。
駅舎だった建物がバス停留所に転用されている場所も見どころ。建物だけ継続して使うのは過去によく見られたパターンだったが、最近は廃線になるとすぐ建物ごと片付けてしまうことが多々あり、元・鉄道施設のバス停というのも段々珍しくなりつつあるのかもしれない。
バスの全体的な車窓風景は、国道両脇に畑が広がり、その奥に小高い丘もしくは山が連なる、いかにもベーシックな北の景色が中心になり、陸別へ近づくにつれ平地系だったものが、緑豊かな森林系へと少しずつ変わる。山越えをするため、道筋は最後まで緩い上り坂が続く。







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