島根県→山口県をバスで縦断だと!? ……そこは県境あるし激ムズ、だよね? な件

島根県→山口県をバスで縦断だと!? ……そこは県境あるし激ムズ、だよね? な件

 島根県→山口県を公共交通機関で縦断する。JR線を使うのはともかく、普通の路線バスで行こうとするなら、例によって県境に阻まれる悶絶級の難しさが付いて回るような気がしてしょうがない。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に島根県→山口県バス縦断チャレンジの現地撮影写真があります)

■益田駅→新山口駅路線バス縦断チャレンジ

山陰本線益田駅と山陽本線新山口駅を縦にバスで繋げる?
山陰本線益田駅と山陽本線新山口駅を縦にバスで繋げる?

 島根県の日本海寄りに位置しているJR益田駅周辺をスタート地点にして、山口県の瀬戸内海寄りの新山口駅をゴールに目指そうとするなら、JR山口線の特急列車1本で直通できる。

 それはそれで大変便利な乗り物ながら、そこを路線バスだけで繋げられないかと淡い期待を抱いてみるのもまた刺激的。

 果たして行けるのか……まずは益田を出発して、島根県の内陸部にある観光地の津和野までは、石見交通による一般路線バス「津和野線」が1日5便出ており、本数は少ないながらもそれを利用すれば行ける。

■そこバスないでしょ?

益田→津和野間の石見交通 津和野線
益田→津和野間の石見交通 津和野線

 問題は津和野から先の行程。ただでさえ交通の細いローカル地域な上、なにしろ路線バスにとって大敵の県境が、見えない壁となって聳え立つわけで。

 しかもJR山口線の線路と並走するように敷かれた、国道9号線くらいしか山口方面への道筋がなく、鉄道と競合関係にあって県境まで越えてくれる奇特な路線バスなんて、なおさら無いでしょ?

 そう諦めたくなる不利な条件が揃いに揃っている。でも探せば何か一つくらいバス出てるんじゃないの? と、じっくり津和野周辺のバス乗り場を確認してくと、ホントに一つだけ、ある停留所に目が止まった。

■パッと見ると逆方向

 JR津和野駅から500mくらい離れた場所に「津和野バスセンター」があり、そこから防長交通のバスが出ていると気付いた。津和野町は島根県で、防長交通は山口県のバス会社、となれば……!?

趣のある津和野バスセンター
趣のある津和野バスセンター

 もしここが、県境の概念をあまり気にしなくて良い、高速バスの乗り場だったら見なかったことにしないとダメだけれど。果たしてその正体は……期待した通り、見事な普通の路線バスだった。

 津和野には県境越え系路線バスが出入りしている!! そんな驚きと共に問題も浮かび上がる。行き先が東萩駅だということ。

 新山口へ行こうとしているのに、日本海にほど近い東萩行きのバスに乗ってしまっては、ものすごい逆方向になってしまう。

 しかしここで注目したいのがバスの経路。西方向に一旦南下してから北上する「V」字型を描いているのが何か匂う。

 もしかするとVの付け根の部分で山口方面へのバスに接続しているのでは? そんな仮説を立てて検証したところ、どうやら繋がってくれるらしい。

■チャンスは1日2回だけ

 津和野〜東萩駅前を結ぶ防長交通のバスは1日5本。新山口方面へ縦に突っ切るなら9:25もしくは12:44発の便が狙い目、というよりこの2回しかチャンスがない。訪問当日は他の用事との兼ね合いで12:44発を選んだ。

県境を普通の路線バスで越える爽快感
県境を普通の路線バスで越える爽快感

 津和野バスセンターは、転回スペースと屋外駐車場、脇に待合所と切符売り場等の窓口や事務所の建物がある、昭和レトロなバス旅の旅情をたっぷり残した、味わい深い佇まいだった。

 黄色とブルーの2色に塗られた、遠くからでもよく目立つ防長交通の大型路線車で津和野を後にする。島根県内を走るのは5kmほど。

春の景勝地を防長バスが通り抜ける
春の景勝地を防長バスが通り抜ける

 全区間の走行距離が約66kmなので、このバスもアウェー側にはほんの少し入るだけという、県境越え系路線バスのフォーマットに則ったものだ。

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