南を瀬戸内海、北を日本海に面する兵庫県。南北の海が県内で完結している同地を、下から上へ路線バスだけで縦断できないかと考えやってみた話の第2回目は、「社→北条町」までの移動だ。
文・写真:中山修一
(兵庫県バス縦断チャレンジの行程写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■行かなさすぎず、行きすぎない場所
前回、スタート地点に据えた三宮(三ノ宮)を、神姫バスが運行する路線バスを利用して出発。三宮から北西に54kmほど行った、バスの終点になっている社(やしろ)という所までやってきて、次のバスに乗り換えだ。
兵庫県内を下から上に進もうとした場合、素直に北上してくれるバスはないようで、一旦西寄りに進む必要があると判断。
社から約22km先の、JR播但線が通っている「福崎」のあたりまで行けば、どうやらバスで北上するための足がかりになると踏んだ。
ところが社→福崎へは直通のバスがなく、一旦姫路を経由して別の乗り換えないと、路線バスでのアクセスはできない模様。
しかしここで注意したいのがバスのダイヤ。その日のうちに福崎へは到達可能なようであるが、さらに先へ進むと途中でバスが終わってしまい翌日まで足止めになる。
この時点で1日での県内南北バス縦断は不可能だと分かったわけで。まさか泊まりがけじゃないとダメとは、兵庫県の路線バス事情は想像していた5億倍くらい手強かった。
行けるところまで行けば良いか、と思いきや、該当地点の周辺に泊まれるところが1軒も見つからず。しかも次の目的地になる福崎にも宿がない/空いていない様子だ。
仕方ないので姫路に一泊して続きは明日、なプランを思案したところ、今度は翌日の福崎方面へ向かう初バスの時刻が遅いため、福崎から次のバスに間に合わない恐れが極めて高い。
次から次へと仕掛けられる罠の数々が、あの手この手を阻みまくる。行かなさすぎず行きすぎず、程よい距離感を持っていて、なおかつ宿の空いている場所……そんな都合のいい所なんてあるの?
■ダイヤの壁に悩まされる
狭すぎる条件の中、ここなら大丈夫じゃないかな? と白羽の矢を立てたのが、社から15kmくらい西へ向かった先にある、北条町という所。ここには宿泊施設も何軒が営業していて空きもあった。
社→北条町へ、どうやってバスで行くか。神姫バスの社営業所を発着する系統ラインナップに目をやると、北条町方面へまっすぐ向かうバスがあった。
おあつらえ向け…だと思ったのは最初だけ。よくよく時刻を確認してみれば、8:23と16:50発の2本しかなく、土休日は運休という見事な極細ライン。平日に訪問したので運転日の条件はクリアするも、時間が全然合わないため利用不能だった。
■バス旅のとっても楽しいお供:徒歩
そうなると代替で考えられるのは、前述の福崎へ行くのと同じ、姫路行きのバスに乗るパターン。最初に三ノ宮から乗ってきたバス(ちょっと遅れて到着)と20分くらいの待ち時間で繋がる。
神姫バス「71系統」姫路駅北口行きがそれだ。バスに揺られること20分・8.5kmほど進んだ先の「別府」停留所で下車した。運賃は440円。
もう少し先の「善防」停留所まで乗り、そこで別のバスに乗り換え「アスティアかさい(北条町にある複合施設の名前)」で降りても行けるらしい。当日は天気が良かったので、ちょっと歩いてみる気が起きて前者を選んだ。
九州の有名な温泉地の別府は「べっぷ」であるが、兵庫県の別府の読みは「べふ」だ。この停留所から先は、バス路線自体は存在していても本数が少ないため、時間が合わないときは歩いたほうが早い区間になる。
距離にすると約6km。1回の徒歩移動にはちょっと長めかな。そんなこと言ってもバスないので県道371号線を淡々と歩く。それほど起伏の激しい区間はなく、終始歩道も用意されているので歩きやすい。
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