公共交通関係のイベントが年に何度か開催されるチェコ。鉄道であれば、歴史的な蒸気機関車の運転や、車庫の一般開放といったイベントが開催され、国内外から多くのファンが訪れる。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、バス工場オープンデー見学の写真があります)
■チェコでも人気の交通イベント
こうした公共交通関係のイベントは鉄道だけに限らず、地下鉄やトラム、バスといった都市部の交通機関でも頻繁に開催されている。
過去に行われたイベントを挙げると、地下鉄であれば保存されている旧型車両が1日だけ通常営業へ投入されたことがあった。
トラムであれば保存車両の車庫となっている交通博物館が無料開放され、交通博物館まで運行されているトラムも乗り放題、というような感じだ。
バスであれば、過去に当コーナーでもご紹介をしたことがある、旧型から新型まであらゆるバス車両が一堂に会する「バスの日」イベントが有名で、旧型バスのデモンストレーション走行など、大人から子供まで楽しめる人気イベントとなっている。
まさに交通ファンには堪らないイベントばかりだが、2024年秋に行われたのは、市内最大のバス工場となっているホスティバーシュ車庫が一般公開され、多くの来場者で賑わった。普段見ることができない、バス工場の内部はどのような様子だったのか。
■会場はプラハの端っこ
ホスティバーシュ車庫はプラハ市東部に位置し、地下鉄A線やトラムの車庫にも隣接しており、周辺は工場や倉庫が建ち並ぶ工業団地となっている。
修理や重要部検査なども行う、プラハ市に走る路線バスの要となる車庫となっている。現役車両のメンテナンスはもちろんだが、保存されている旧型車両の維持・管理なども一手に引き受けている。
ただ、工業団地内に位置しているだけあって、市内中心部からは少々遠く、地下鉄A線の終点であるデポ・ホスティバーシュからさらにトラムに乗り換える。
その終点のウーストゥジェドゥニー・ディールニーDP(交通局中央工場)停留所が最寄り駅だ。舌を噛みそうな長い名前を見ただけで、もう最果てであることが想像できる。
■肩肘張らないカジュアルさ
さっそくゲートをくぐって、工場内へ入ってみよう。工場の敷地はかなり広大で、すぐ隣にはトラムの工場も見える。
停留所の名前の通り、周辺一帯が交通局の工場となっている。バス工場の建屋前には、子供用の遊具が置かれてあり、これがマニアのためのお堅い工場見学イベントではなく、あくまで家族連れが学べて楽しめるイベントであることが分かる。
建屋へ入ると、廃車となったバスから抜き取られたエンジンが形式別に展示されていた。一部は実際にエンジンを掛けることもでき、子供たちがエンジンを掛けて吹かしていた。
奥へ進んでいくと、保存されている旧型車両が見えてきた。地元シュコダ製はもちろんのこと、旧社会主義国家と言えば忘れてはいけないのがハンガリーのバスメーカー、イカロス製のバスだ。
もちろん、現在はすべて現役から退いているが、プラハでも数台が大切に保存されている。車庫内にいた車両は、内外装がすべて取り払われ、車体の再塗装という大規模な修繕が行われている最中だった。
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