バスや電車のイベントが旺盛に開催される日本。そんな公共交通機関にテーマを絞った催しが開かれるのは日本だけかと思いきや、実は海外でもあなりの熱量で行なわれていた。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
(現地の写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBをご覧ください)
■海外でも今やおなじみのバスイベントが
日本のバス事業者では、たまに普段利用している地域住民やバスファンのために、特別なイベントが開催されることがある。
営業で使用しているバスを並べて撮影会を開催したり、子供たちが運転席へ座って記念撮影をしたりというものが多く、また記念グッズや部品即売会なども行われている。最近では、近隣の事業者とコラボでイベントを開催することもあるようだ。
そんなイベントは、海外でも行われているのだろうか?
■かなりデカいぞ! プラハの「バス・デー」
筆者の住む、チェコ共和国の首都プラハでは、毎年春の恒例イベントとして、プラハおよびその近隣都市の交通連合であるPIDが主催する「バス・デー(Autobusového dne)」なるものが、5月に開催されている。
プラハには、交通局が保有する交通博物館が市内にある。なるほど、そこで開催されるのか、あるいはどこかの車庫を開放するのか…?と思えばとんでもない。
地下鉄C線の終点レトニャニー駅に隣接する、広大なバスターミナルおよびバス操車場を会場に使い、そこにプラハ交通局をはじめ、PIDに加盟するバス事業者、および私的にバスを保有する団体などが一堂に集結するというビッグイベントなのだ。
■手堅い展示車両ラインナップ
しかも、このイベントのすごいところは、現有車両だけの展示ではなく、すでに引退した古い車両から、メーカーが発表したばかりの新車まで、バスと名が付くあらゆる車両が見られるというところなのだ。
日本でも、近年はボンネットバスや、少し前のモノコックボディの車両が保存団体などによって修復され話題になっているが、プラハの保有する車両の種類と台数は桁違いで、その多くは交通局が保存。しかも維持しているというのだから驚く。
保存されている旧型車は、シュコダやカローサといったチェコ製(当時はまだチェコスロヴァキアの時代だった)の車両のほか、かつての社会主義国家で多く見られたハンガリーのイカロスのバスも見られる。
年代も、古いものでは1950~60年代の車両から、1970年以降に製造されて比較的最近まで活躍していたものまで様々だ。
■「置くだけ」にあらず!
イベントを見に来る人達も、若年層から高齢者層、バスファンやファミリー含め様々だが、それだけ展示内容が充実していれば、どの年代の人にも楽しんでもらえるのは間違いないだろう。
さらに驚くのは、これらの旧型車両はただ展示されるだけではなく、実際にイベントを訪れた人たちを乗せて、会場周辺を周遊するのだ。
単純に周辺をぐるりと一周する車両もあれば、会場と他の地下鉄駅、トラム停留所との間を結ぶシャトルバスとして使われている車両もある。バスファンにとっては堪らないイベントである。
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