観光でも有名な北海道の網走。交通拠点の一つである網走駅から、釧路方面へと繋がる釧網本線が通っているが、オホーツク海に面した景色が特にきれいな区間である網走〜知床斜里間には、この釧網本線に沿って進む路線バスが存在す
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、斜里バス網走線とその沿線の写真があります)
■路線バスの代替バス
JR線など線路の隣にぴったり付いて進む、並走・競合系の路線バスというのも、合理化によって最近はだいぶ珍しくなってきた。
釧網本線沿線で、そんな特殊な条件を満たしているバスが、斜里町を拠点に持つ名門バス事業者の、斜里バスが運行する「網走線」だ。
2025年9月現在の斜里バス網走線は、JR網走駅前〜知床斜里駅前にある斜里バスターミナルの間を結んでいる。
元々はほぼ同じ区間を、網走バスによる「小清水・斜里線」が運行していた。しかし利用低迷によって、網走バスとしては2018年5月に、斜里線の小清水〜斜里駅前間が路線廃止されている。
そこで斜里線の代替交通を立てるため、2018年6月に新しく運行を始めたのが斜里バスの網走線になる。線路並走型+路線バスの代替バスという、ダブルでユニークな肩書きの持ち主だ。
■トリプルでユニーク
網走バス時代は1日あたり直通便が1往復、乗り換え便が4往復の設定で、網走駅前〜知床斜里駅前を移動できた。
一方、今日の斜里バス網走線はと言えば、なんと平日1日1往復のみ・土日祝と年末年始は運休! 少ない、を通り越して限界まで削りに削った超洗練ダイヤだ。
双方の発車時刻は斜里発が8:30で、網走発が12:03。確かに極細ではあるものの、極端に朝早かったり夜遅すぎたりもしないため、乗りバスで楽しむには使いやすそうな印象。
それにしても、線路並走、バスの代替バス、超洗練ダイヤと、トリプルでユニークな要素を備えている路線には孤高の輝きを感じる。
■網走駅前→斜里バスターミナル便に乗る
一度試してみたい路線バスだったのもあり、2025年9月に網走線の様子を見に、JR網走駅前へと向かった。
網走駅前のバス乗り場は、駅前ロータリーと道路上の何カ所かに分かれている。網走線のバスはどの乗り場から出ているのか。
現状は駅前ロータリーの「1番乗り場」になっている。1番乗り場のバス停標識に網走線の時刻表が掲示されている一方、1番乗り場の発着路線案内には記載がなかったので一瞬戸惑った。
使われている車両もまたバスのプロファイル観察では特に気になる要素。どんな種類の車が来るのかと待っていたところ、やってきたのは青い車体のマイクロバス。
車種は路線バス仕様の三菱ふそうローザ(四駆)であった。網走市の資料によれば、2019年のデータで1日あたりの利用者は平均7人だそうで、輸送力はマイクロバスで必要にして十分とみた。
■抜群のオーシャンビュー
バスが駅前ロータリーを出発すると、街の中心にある病院と、網走バスのターミナルを経由して利用者をピックアップしていく。
このバスは、あくまで斜里〜網走間の移動を目的にしており、網走市内のみの区間利用はできないルールだ。
網走の市街地を抜けた後、JR釧網本線の線路にほぼ並行している国道244号線をメインルートに進んでいく。
前述の通り網走〜知床斜里間は景色が非常にきれいで、斜里方面に向かう場合は進行方向左側に海、右側に平地+山系のワイドな風景が広がる。
線路の隣が道路ということで、電車(ディーゼル)/自動車ともに、車窓からの眺めはよく似ていて、どちらで移動しても同じ要領で楽しめるはず。
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