JR線と私鉄両方が通っている場所は各地で見られるが、中にはJRと私鉄とで、列車の停まる地点は似通っていながらも、それぞれの駅が離れた位置に建っていることがある。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、中央前橋駅 vs. 前橋駅の現地撮影写真があります)
■お互い離れたJRと私鉄の駅
駅名が指す場所や所在地が実質的に同じで、それぞれ離れた位置関係にあるJRと私鉄の駅と言えば、JR川崎駅と京急川崎駅、JR蒲田駅と京急蒲田駅、JR前橋駅と中央前橋駅、JR豊橋駅と新豊橋駅、JR大阪駅と大阪梅田駅、JR松山駅と松山市駅などなど、色々な例が挙げられる。
そういった条件下の駅で、JR線〜私鉄を乗り継ぎたいと思った時、川崎駅と京急川崎駅の関係のような、両駅の間が向こう隣の距離感なら深く考えずに、歩いてくか、くらいで移動手段の問題は解決するハズ。
しかしここで注目したいのが、全然徒歩圏内ではあるにせよ、天気のよくない日に当たってしまうと、ちょっと文明の力に頼りたいなと思いたくなる、なんとも微妙〜な位置関係を持ったJRの駅 vs. 私鉄の駅だ。
この条件に当てはまるJRの駅 vs. 私鉄の駅の間に、かゆい所に手の届くバスの一つでも通っていそうな気がする。
■近くも遠くもなる距離感? 中央前橋駅と前橋駅
今回実像を探ってみたのは、群馬県にある中央前橋駅と前橋駅の間を取り持つ、タクシー以外の公共アクセスだ。
中央前橋は群馬県の私鉄・上毛電鉄の始点になっている駅で、ここから約25km先の西桐生駅までを結んでいる。一方の前橋駅には、小山〜新前橋間約84kmを繋ぐJR両毛線の列車が停まる。
中央前橋駅〜前橋駅までの距離はおよそ900m。それぞれの駅前を通っている片側2車線の大通りを、道なりに真っ直ぐ進むだけの至ってシンプルなルートだ。徒歩での移動時間は15分ほど。
■中央前橋駅をとりまく公共アクセス事情
ここでは、上毛電鉄の中央前橋駅をベースに公共アクセス事情を軽くチェックしていこう。まず、中央前橋駅周辺には、「中央前橋駅」を名乗るバス停が、駅の前を通る道路上と、駅前広場に設けられたバス乗り場にそれぞれ置かれている。
道路上にある中央前橋駅バス停を見てみると、ここには各方面を結ぶ、JR前橋駅発着の路線バスが何路線か立ち寄るようだ。主な路線系統に……
(1)関越交通「50A系統 富士見温泉線」ほか 5〜6分 180円 1km
(2)日本中央バス「51系統 青柳富士見線」 9分 180円 1km
(3)群馬中央バス「47B系統 新前橋駅西口線」 10分 100円 900m
(4)永井運輸「70系統 マイバス東循環」 14分 100円 1.9km
……などがあった。4社に渡るバスの運行業者の豊富さに目を引く。
経路が異なるため、所要時間は路線系統によって5〜14分とまちまち。行き先は同じでも事業者ごとに運賃が違う点もユニーク(所要時間で相殺?)に思える。
■やっぱり存在した!? ほぼ直行バス
続いて、駅前広場のバス停から前橋駅へ行くバス等があるかどうか。こちらからは何と、実質的に中央前橋駅〜前橋駅間の直行バスが出ていた。
日本中央バスが運行する「59A系統 シャトルバス」がそれにあたり、途中の停留所はなく、中央前橋駅〜前橋駅間をノンストップで結ぶ。運行距離900m、所要時間7分で運賃は180円だ。
中央前橋駅前発が7〜19時台まで、前橋駅発が7〜18時台まで対応している。上毛電鉄線が日中30分おきに出るダイヤ設定に合わせているようで、シャトルバスも日中は30分おきの発着。
日中のダイヤでは、上毛電鉄線で中央前橋駅まで来た場合のバス乗り継ぎ猶予は2分と、ちょっと小走りな接続。反対に前橋からシャトルバスで来て電車に乗り換えるときの猶予は12分と余裕がある。
また、土日祝はJR前橋駅から1kmくらい離れたショッピングモール(けやきウォーク前橋)まで、「59B系統」としてシャトルバスが足を伸ばす。
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