バス王国・広島から風光明媚な山口へ!! 防長ライナーのバス旅は超快適だった……

バス王国・広島から風光明媚な山口へ!! 防長ライナーのバス旅は超快適だった……

 中国地方最大の都市である広島には、中国・四国の各地から路線バスがやってくる。山口県の防長交通も特に珍しいわけでもなく毎日姿を現すが、人手不足で路線廃止となったのは残念な限りだ。

●防長ライナー(田布施・広島線)広島〜柳井・平生・田布施
○運行会社:防長交通
○乗車・撮影:2023年3月

(記事の内容は、2025年3月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2025年3月発売《バスマガジンvol.128》『思い出の長距離バス』より

■広島バスセンターの1番乗り場!! 大都会の広島を発車する!!

防長交通の防長ライナー。車両は日野 セレガR
防長交通の防長ライナー。車両は日野 セレガR

 バス王国の広島は、中国最大の都市である。市の中心にある広島バスセンターでは、県郊外や主として中国、四国地方からバスが次々にやって来る。

 防長交通は山口県に広い路線網を持ち、広島にもやって来る。各地から次々と数珠つなぎといってもいいくらいにバスがセンターへと入り込んでいくが、お隣の山口県からはさらに当然のようにやって来る。

 昼下がりの広島バスセンター、先頭の1番乗り場。ここから田布施に向かって発車する便に乗車した。眼下に見える元広島球場、この当時は広島でのサミット開催が決まったこともあり、工事がたけなわだ。

 出発するとそのまま北上するが川を続けて3回渡るのが広島らしいし、周囲が山々に囲まれ坂を上りながら進みJR山陽本線をまたぐ。続いては正面に新幹線の高架が見えてくるが、西風トンネルに入り込み長いこのトンネル内で、次は新幹線をくぐっているのではないだろうかと考えてしまった。

■足のいいセレガRがこの路線にぴったり! 高速から山口県へ

会話が弾む楽しい車内
会話が弾む楽しい車内

 前方は広電の路線バスが時速60kmの制限速度で走行し、互いに速度は守りトンネルを出ると広電は右折、こちらはアストラムライン大塚駅を左折すると五日市インターから高速へと入る。

 セレガRらしい加速、横揺れまでもが実に“らしい”乗り心地。左手には広島市の街並みを一望でき、その後は青い海が続く。活気のある工場、背後の島々が瀬戸内らしいこの地域独特の景色を眺め、北九州まで202キロ、やはりサミットの文字が高速入っても目に入る。

 「おいでませ」の文字が見えてくると山口県入り。次第に山の掘割を入り抜いて走るが、観光路線でもなく観光客は皆無で、多くは山口県人が昼食後に帰路に就く人だろう。静かな対話と寝込む人たち、先ほどまでスマホに夢中だった女性も大切なスマホを床に落として夢の中といった様子だった。

■一般道では柳井市から田布施へ……帰宅する山口県民の足だ

終点の田布施に到着
終点の田布施に到着

 玖珂インターで高速降りると、早速降車客がある。松山へのフェリー乗り場の看板が何度も目に入り山口県は四国も九州も近い、畑が続くのどかな風景だ。そして柳井市郊外へ。

 市内が近づくと市内線バスを見かけるようになり、下校中の小学生が次々と降車して自宅へと向かう。見受けられるのはエルガミオ。地元路線も日野主流が実に防長交通らしい。

 路線バスが何度も目に入るのは都会の証!? そして柳井市中心部と進入していく。

 市役所前後のいくつもある各バス停で降車客が1人また1人と続く。このこまめな停車客扱いは大変かも知れないが、折り戸の開閉の速さや、減速、発車時の加速の良さは、高速道はもとより、さらに一般道では実力を発揮してセレガRらしい性能を見せる。

 このような停留所の多い路線にぴったりな印象が客室からも伺えた。市の中心部を過ぎれば車内も静かになる。田布施に入る。終点までの利用客は少なく、柳井市民に重宝されていた。

 田布施町は人口も利用者も少なく路線は廃止となった。その後並行する鉄道が利用できるので静かに消えた路線であった。

【画像ギャラリー】山口県民の足として活躍!! 広島から山口を結び惜しまれつつ姿を消した防長交通運行「防長ライナー」(12枚)画像ギャラリー

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