日本は運転手不足からバスの減便、運休、廃止が相次いでいる。ところが北欧には路線バスが24時間運行している国がある。フィンランドだ。日本とほぼ同じ面積ながら、人口が1/25しかいないのになぜ人手不足にならないのか。
(記事の内容は、2025年9月現在のものです)
執筆・写真/谷川一巳
※2025年9月発売《バスマガジンvol.130》『バスにまつわる愉快だけどマジな話』より
■日本は改革が待ったなし
日本では運転手不足からバスの減便、運休、廃止が相次ぎ、深刻な問題になっている。これだけバスの運転手不足が話題になってしまうと、なおさらバス運転手を目指す人材は減るであろう。
鉄道やフェリーでも人手不足で減便になっており、このままでは公共交通が維持できなくなってしまう。待ったなしの改革が必要だ。
海外に目を向けると、公共交通機関は公営交通で、同じエリアはひとつの組織が運営、複数社が運行していたとしても、運賃やルールなどはひとつの組織が管理している。
日本のように多くのバス会社が運営し、同じ場所にバス会社毎の停留所看板があるなどという例は極めて少ない。運転手は運転に専念し、運賃授受にかかわらないことも多い。運賃はモラルに任せ、頻繁に検札を行い、不正乗車に対しては高額なペナルティというのが、主要国では一般的だ。
「日本では馴染まない」「日本とは風土風習が異なる」という意見も聞かれそうであるが、参考にできるところは参考にしたほうがいい時期に来ていると思う。
宮崎県は宮崎交通一社が、石川県では北陸鉄道系列、岐阜県は名鉄系列がほぼバス全般を運行するが、海外に近いイメージであろうか。
■路線バスの24時間運行で治安も良好
筆者は2025年6月に北欧のフィンランドを訪ねた。ドイツのフランクフルト乗り継ぎでフィンランドのヘルシンキ空港に到着したのは午前0時25分。空港から中央駅までの列車が深夜でも運行しているのは事前に知っていたが、中央駅から宿まではタクシーでも使わざるを得ないかと思っていた。
ところが、ヘルシンキ中央駅に深夜2時に降り立ってみると、トラムや市内の路線バスが24時間運行をしていて、スムーズに宿最寄りのバス停へ行くことができた。
加えて感心したのが、空港から中央駅へ行く鉄道の切符が路線バスやトラムにも有効だったことだ。さらに、空港バスも24時間運行、そのバスを使えば空港から宿最寄りのバス停へも直行でき、そのバスも同じ切符で乗ることができたのだ。
切符購入は駅の券売機で、紙の切符はなくカード乗車券かスマホのアプリのみ。「駅で売っているのは鉄道の切符では?」と考えるのは野暮というもので、そもそも「鉄道の切符、バスの切符」という分類がない。「公共交通の切符」なのである。
券売機はどこにでもあるわけではないが「コンビニ」で購入でき、その切符を車内の機械にタッチし、アクティベイトして使う。つまり、購入する時点では「いつ使うか」は未定でいい。
日本だったらそれぞれの交通機関は別々に運営し、運賃も別、24時間運行などなく、タクシーに長蛇の列、ということを考えると、フィンランドはかなりスマートである。
24時間運行は、深夜でも移動できるという利便性以外にも感じたことがある。それが治安の良さである。
海外では「昼は安全でも夜の一人歩きは危険」と言われるが、それを感じなかった。深夜でも公共交通機関が運行しているということが大きな理由と感じた。深夜を理由にタクシーが「法外な料金を吹っ掛ける」ということもできない。さすがは「幸福度ランキング」上位常連の国だけのことはあると感じる。
日本は「合理性」がないとつくづく感じるし、交通機関が多過ぎで、それらは「利用者の利便性」ではなく「事業者の都合」で運営されているとも感じる。そこの改革を行えば、日本は世界で11位の人口の多い国なので、人手不足も解消していくのではないだろうか。
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