全国に25,000以上あると言われる路線バスの中で、都府県境を越える一般路線バスとなれば、極端なまでに数が減る。そんな県境越えバスの様子を見に行くシリーズの第22弾目くらいに訪れたのは、宮崎県と鹿児島県の境界を越えて走る、高崎観光バス「霧島神宮線」だ!
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、霧島神宮行き県境越えバスにまつわる写真があります)
■南九州有数のパワースポット行き
今回現地の様子を見に行った「霧島神宮線」は、宮崎県都城市にある民営バス事業者の、高崎観光バスが運行する一般路線バスの一つ。
JR日豊本線・吉都線の駅である都城駅前と、南九州有数のパワースポットと言われ人気を集める参拝・観光名所の、霧島神宮との間を結んでいる。
この路線は元々、宮崎交通が運行していたようだが、宮崎交通が2016年に路線を廃止したことにより、高崎観光バスがほぼ同じ運行区間を受け継いでいる。そのため、「路線バスの代替バス」といった肩書きがプロファイルに付けられなくもない。
駅〜観光地を結ぶバスということで、シャトル便的な役割を持っていそうなイメージ。ところが本数を見ると平日6往復、土日祝は3往復に減ってしまい、乗るには予めゼロイン調整した上でよ〜く狙っておくのが安全。
バスのダイヤ的には、霧島神宮周辺をゆっくり散策できる時間帯に運行しているため、極細タイプは否めないものの、利用してみるとなかなか便利な観光向けの移動手段になってくれる。
■小さなリエッセが走るそこそこ大きな路線
2026年1月の訪問時点で、都城駅前のバス停に現れた霧島神宮線には、小型汎用バスの日野リエッセが使われていた。
前と中央に扉の付いた2ドア車ながら、中扉しめきり前乗り・前降りの運賃後払いかつ、沖縄や離島のバスでたまにある、乗車時に行き先を申告する方式になっていた。車内アナウンスは基本流れないらしい。
小型バスが使われているとはいえ、全区間の走行距離は38.2kmほどにまで延び、一般路線バスとしては結構走り込む。
霧島神宮といえば近くに霧島山が聳えており、バスからも山々の一部が顔を出し、車窓にダイナミックな景色が広がってくれるタイミングがあるので見逃せない。
■2つの県を行ったり来たり
霧島神宮線の経路をおさらいしていくと、都城駅→霧島神宮前方向で、まず駅前を出て国道269号に出ると、宮崎県道31→42→31→107号と推移。
続いて宮崎/鹿児島県道106号→宮崎県道31号→国道223号→側道→国道223号に戻り、最終的に霧島神宮前のバス停に到着する。
霧島神宮は鹿児島県内にあるということで、どこかで県境を越えているわけだが、このバスの場合、まず途中の約12km地点・県道107号と106号が合流する場所で一度鹿児島県に入る。
その後、なんと1.5kmくらい進んで再び宮崎県に戻るという、途中で県境越えをしてまた帰る、全国的にもなくはないが、かなり珍しいルート設定が採られている。
さらに、約26km進んだ、国道223号から側道に寄り道する場所にまた県境が現れ、3度目の県境越えを披露するのが非常にユニーク。
この側道(県境下〜高千穂牧場〜霧島田口間に相当)、どうやら道の脇に県境が引かれているようで、境界スレスレを約1.6km進んでいく、これまた風変わりな一面を持っていて楽しい。
前述の通り、都城駅〜霧島神宮前およそ38.2kmの距離を走行。所要時間は1時間16分、運賃は1,260円だ。
高崎観光バスが宮崎県のバス事業者である点を踏まえると、鹿児島県がアウェー側に相当する。鹿児島県内の走行距離を測ってみると、全区間38.2kmのうち合わせて6.2kmくらいだった。
アウェー側ではあまり距離を稼がない点は、他地域の県境越え系バスとほぼ同等で、標準フォーマットに則っていると言える。
県境を3回も跨ぐ異彩の存在・霧島神宮線。ユニークな経路設定もさることながら、旅の足代わりにもしっかり役立ってくれる路線バスといった印象で、霧島神宮への参拝・観光にぜひ活用したいところだ。
【バス路線の基本データ】
高崎観光バス 霧島神宮線(都城駅〜霧島神宮前)
・跨ぐ県:宮崎県 → 鹿児島県
・移動距離:38.2km
・所要時間:1時間16分
・全区間の運賃:1,260円
・停留所の総数:59
・鹿児島県内の区間距離:計およそ6.2km
・鹿児島県内の停留所の数:7




















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