役割を分けて各駅跡をカバー! 九州の廃線「旧JR山野線」代替バスのプロファイルが深すぎた!!

役割を分けて各駅跡をカバー! 九州の廃線「旧JR山野線」代替バスのプロファイルが深すぎた!!

 九州にはその昔、国鉄による鉄道線が縦横無尽に伸びていた時代があり、それら路線の数々が廃線になって30年以上経った今も、各所で鉄道の後を継いだ路線バス(代替バス)が引き続き活躍を続けている。今回は鹿児島/熊本エリアの「旧JR山野線」代替バスに注目!

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、旧JR山野線代替バスの写真があります)

■ひと山越えて町をつないだ山野線

水俣駅。現在は肥薩おれんじ鉄道線の停車スポット
水俣駅。現在は肥薩おれんじ鉄道線の停車スポット

 山野線は、熊本県の水俣駅と鹿児島県の栗野駅との間およそ55.7kmを、ループ線を使って山越えをしながら、内陸部の薩摩大口駅経由で結ぶ国鉄/JR九州の鉄道線だった。開業は1921年で全通は1937年。

 1985年当時の時刻表準拠で、通し便・区間便合わせて水俣→栗野方向に13本、栗野→水俣方向に12本の設定。全線非電化のため、後年の車両はキハ52やキハ40といったディーゼルカーが使われていた。

水俣駅の待合室に山野線の資料コーナーがある
水俣駅の待合室に山野線の資料コーナーがある

 1960年代から急速に進んだ、自動車普及の煽りを受けた鉄道の一つに数えられ、周辺人口の減少も伴い利用が低迷、赤字線となり国鉄合理化のため1984年に廃止の承認が下りている。

 ただし、他の廃止ローカル線にも時々見られる、暫定期間が設けられていたようで、国鉄がJR九州に変わってからも短い期間ながら営業を続け、1988年2月に廃止された。

■役割を分けた代替バス

 1988年2月のJR山野線廃止後、他の地域と同じ要領で、路線バスを使った代替交通が用意され、2026年3月現在も活躍を続けている。

 現在の山野線代替バスは1つだけでなく、種類がいくつかあり、全部で16あった鉄道駅跡をそれぞれカバーする役割が路線ごとに分かれている。

水俣駅前の「みなくるバス」停留所。代替バス相当の大川線は乗り場Bから発着
水俣駅前の「みなくるバス」停留所。代替バス相当の大川線は乗り場Bから発着

 まずは、山野線の熊本県側・水俣〜久木野間14.3km相当を受け持つのが、水俣市コミュニティバス「みなくるバス」大川線だ。

 みなくるバス大川線は平日1日4往復、土日祝3往復のダイヤ設定になっている。

■大口〜栗野間の区間運行便

 続いて、水俣から37km地点にあった中継地点の薩摩大口駅(現・大口)〜栗野駅間18.7km相当には、熊本県/鹿児島県に路線バス網を広げる南国交通の路線が運行中。

山野線代替バスの一部を担当する南国交通
山野線代替バスの一部を担当する南国交通

 経路違いが2種類あり、通常便と呼べるものが1日5往復。うち1往復は、鉄道時代の列車にも設定のあった、JR肥薩線の吉松駅まで出張する。

 もう一つは、通常便では通らない「前目駅」の近くを経由するもので、大口→栗野方向が1日平日1本・土日祝2本、栗野→大口方向は平日運休・土日祝1本の変則ダイヤだ。

■意外なところから出る代替バス

 みなくるバス大川線と、南国交通の大口〜栗野線は、鉄道時代をかなり忠実にトレースしている路線と言える。

代替バスの一つが鹿児島空港〜栗野〜大口〜水俣を結ぶ南国交通の路線
代替バスの一つが鹿児島空港〜栗野〜大口〜水俣を結ぶ南国交通の路線

 では上記のバスが対応していない、大口〜久木野間22.7km相当はどうなっているのか。

 この区間、久木野駅方面には立ち寄らないものの、別ルートを通って水俣へ抜ける、代替バスに該当する路線が用意されており、こちらも南国交通のバスとなっている。

鹿児島空港9番乗り場に水俣行き直通便がやってきた
鹿児島空港9番乗り場に水俣行き直通便がやってきた

 鹿児島県側の始発/終点が代替バスとしてはちょっと変わっていて、なんと鹿児島空港である。

 このバスは鹿児島空港〜栗野〜大口〜水俣を結ぶもの(便宜的に空港線とでも言おうか)で、鉄道時代の全区間通し運行をする列車に性質が最も似ている。

 本数は全区間通し便が1日3往復。極細の部類に入るのは否めないものの、早朝もしくは夜だけ!のような極端ダイヤではないので、狙いえさえすればそう無理なく観光目的に使える。

途中で水俣発空港行きの便とすれ違い
途中で水俣発空港行きの便とすれ違い

 代替バス部分の経由地に注目すると、空港線は山野線の終点だったJR肥薩線の栗野駅前には行かず、500mほど離れた停留所(栗野三文字)をかすめていくのが、大口〜栗野線との違いで、この他にも経路がやや異なる。

 それにしても空港発・いわゆる空港連絡バスの機能を持っているとなれば、車両には高速バスタイプのハイデッカー車が使われているのかと予想したくなる。

薩摩大口駅のあった「大口」バス停は今も主要中継地になっている
薩摩大口駅のあった「大口」バス停は今も主要中継地になっている

 2026年1月に様子を見に行ってみたところ、乗り場に現れたのは2扉の中型路線車(いすゞエルガミオ)。

 本当に普通の路線バスなので、鉄道代替バスにして空港へ(から)高速車ではなく路線車に乗っていく、セオリーに背くような空港アクセスの楽しみまで味わえる。

大口バス停のすぐそばに鉄道記念公園がある
大口バス停のすぐそばに鉄道記念公園がある

 全区間およそ74kmの距離を2時間で結び、運賃は1,700円。実はこのバス、時間さえ合えば鹿児島空港〜水俣駅前間を最速クラスかつ最安で移動できたりもする。

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