旧JR江差線の代替バスすら通らない駅跡……そこへ行ける交通手段って果たしてあるのか?

旧JR江差線の代替バスすら通らない駅跡……そこへ行ける交通手段って果たしてあるのか?

 廃止になった鉄道の代替バスといえば、元あった鉄道線の各駅跡の近くに立ち寄りながら、線路跡をトレースするようにして走るのが基本だ。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、旧JR江差線と代替バスにまつわる現地撮影写真があります)

■駅跡に手厚い旧JR江差線の代替バス

2010年10月当時の江差駅と出発待ちの木古内行き普通列車
2010年10月当時の江差駅と出発待ちの木古内行き普通列車

 2014年5月に廃止された、北海道の木古内〜江差間を結んでいたJR江差線の一部区間。廃止後は函館バスが代替交通の運転を始めた。

 2025年現在は路線名称を「江差木古内線」から「631、632、634系統」に改め、バスの開業当初とほぼ同じルートを維持しながら、平日1日6本程度のダイヤで運行を続けている。

2014年5月から木古内〜江差間を函館バスが結ぶようになった
2014年5月から木古内〜江差間を函館バスが結ぶようになった

 線路跡に並行する道道5号線を通るため、631系統ほかの基本的な経路はかなり鉄道線に忠実。しかも、並行道路にオフセットした位置にあった駅跡にも対応。

 そういった駅跡には、一旦メインルートから外れて小道に入り、元・駅前に近い場所まで丁寧に寄り道していく、なかなかどうして駅跡を手厚くカバーする路線と言える。

■1カ所だけ行かない駅跡が

ちょっとした規模の駅舎とロータリーのあった江差駅
ちょっとした規模の駅舎とロータリーのあった江差駅

 江差線には全部で10駅があった。現在の函館バス631系統では、駅名と名称が異なる場所も何カ所かに見られるものの、駅跡へのアクセスを以下の停留所で対応している。

(1)木古内 → 木古内駅前
(2)渡島鶴岡 → 鶴岡禅燈寺前
(3)吉堀 → 吉堀
(4)神明 → 神明
(5)湯ノ岱 → 湯ノ岱
(6)宮越 → 宮越
(7)桂岡 → 桂岡
(8)中須田 → 豊田
(9)上ノ国 → 大留

 始点の木古内〜上ノ国までは一通りカバー。ただし、廃線フレンドリーな江差線代替バスをもってしても、1カ所だけ通らない駅跡がある。鉄道の終点だった(10)江差だ。

江差駅前→代替バスの近隣バス停へは徒歩で移動
江差駅前→代替バスの近隣バス停へは徒歩で移動

 江差駅跡に最も近い函館バス631系統の停留所は「南が丘通り上り口」になり、一応徒歩圏内ではある。

ダイタイバスこっち
ダイタイバスこっち

 とはいえ、実距離で400mくらい離れており、駅跡の目と鼻の先まで乗り付ける(1)〜(9)の対応状況に比べれば、400mという距離はスルーと言ってよい領域。

江差駅跡に最も近い代替バスの停留所「南が丘通り上り口」
江差駅跡に最も近い代替バスの停留所「南が丘通り上り口」

 631系統の代替バスとしての機能の中で、例外中の例外と言えるのが、鉄道時代には象徴的な場所だった江差駅を通らないという点だ。

■江差駅跡にバスで乗り付ける方法

 では、江差駅のあった場所にはもう公共交通手段で行けないのかと言えば、他の系統がサポートしている。代替バスと同じ函館バスによる「624系統」だ。

代替バスが通らない駅跡をカバーするのが函館バス624系統
代替バスが通らない駅跡をカバーするのが函館バス624系統

 624系統は鉄道廃止後にできた系統ではなく、昔からあったバス路線「桧山海岸線」の現在の系統番号。

 江差を起点に海岸線沿いを北上する風光明媚な路線で、2025年5月現在、江差ターミナル〜熊石間42.3kmを結んでいる。現在のところ、熊石は江差から予約不要の路線バスで行ける最北地点となっている。

624系統は江差のさらに奥を目指す路線
624系統は江差のさらに奥を目指す路線

 平日と土曜が1日6往復、日祝5往復のダイヤ設定。江差ターミナルから乗車した場合、江差駅跡にあるバス停は4つ目だ。

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