開業11年が経ってすっかり定着した江差線代替バス……それによって何か変わったのかを見に行ってみた

開業11年が経ってすっかり定着した江差線代替バス……それによって何か変わったのかを見に行ってみた

 2014年5月に廃止されたJR北海道・江差線の木古内〜江差間。鉄道線廃止と同時に代替バスが運行をはじめて、2025年5月現在で11年経ち、バス路線としても歴史の味わいが出てきた。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、2025年現在の江差線代替バスの写真があります)

■11年後の江差線代替バス

JR江差線のあった頃
JR江差線のあった頃

 JR江差線は、北海道・渡島半島にある五稜郭〜木古内間37.8kmと、木古内〜江差間42.1km合わせて79.9kmを結ぶ鉄道路線だった。

 五稜郭〜木古内間は青函トンネルを通り、本州方面へと繋ぐ特急列車や貨物列車が通る交通の大動脈だったのに対して、木古内〜江差間は1両編成のディーゼルカーが走るノンビリしたローカル線と、同じ路線にして木古内を境に雰囲気がガラリと入れ替わるのが特徴であった。

 五稜郭〜木古内間は北海道新幹線の開業に合わせて、第三セクターの道南いさりび鉄道へと移管されたが、利用の少なかった木古内〜江差間は2014年5月に廃止された。

10年以上も江差線代替バスの「顔」として活躍している専用カラーの日野ポンチョ
10年以上も江差線代替バスの「顔」として活躍している専用カラーの日野ポンチョ

 2015年5月からは、函館バスによる代替バスが運行を開始。ほぼ線路と並行して敷かれた道道5号線をメインルートに、鉄道線をトレースするような経路を描きながら、木古内駅前〜江差周辺およそ57kmを1時間50分くらいで結んでいる。

(クルマで行く分には)手頃な撮影スポットで有名だった橋梁も今のところ健在
(クルマで行く分には)手頃な撮影スポットで有名だった橋梁も今のところ健在

 道道5号線が内陸部を横断する道であるため、車窓風景は多くが山系。新緑の時期に乗車すると爽やかな景色をバスに乗りながら楽しめる。バスが通る最大標高はGPSログアプリの測定値で154m。

■系統番号が付きました

 さて、2025年5月現在で運行開始から11年と、気づけば結構な年月が経った。それだけ時間が経過すれば、何か変わったところがあるかもしれない。そう思って現地の様子を見に行ってみた。

2025年5月現在も元・駅跡に立ち寄り、いかにもな鉄道代替バスらしさを見せる
2025年5月現在も元・駅跡に立ち寄り、いかにもな鉄道代替バスらしさを見せる

 現在のところ、木古内〜江差間を結ぶ函館バスは3つの系統に分かれていて、631、632、634系統がある。江差側の始発と終点もしくは経路がそれぞれ異なり、内訳は……

・631系統:江差病院前/江差高校前
・632系統:江差病院前(開陽丸経由)
・634系統:江差ターミナル

……となっている。

 以前は系統番号の割り当てがなく、「江差木古内線」の路線名で呼ばれていたが、最近になって系統番号が付いた。

JR線時代の「神明」駅前
JR線時代の「神明」駅前

 上記の系統の中で、632系統は2016年に新設。また、634系統の運転区間にあたる、江差市街地の3kmほど手前にある江差ターミナル止まりも、2024年の後半に新設されたとのこと。

■ちょっとだけ減便

 鉄道時代には6往復の列車が設定されていたのとほぼ同じ、以前は代替バスも上下6本ずつのダイヤが組まれていた。

2018年(左)と2025年の、木古内駅前の江差線代替バス時刻表
2018年(左)と2025年の、木古内駅前の江差線代替バス時刻表

 2025年5月現在、平日は1日上下6本ずつ。一方で土休日に変化があり、昼過ぎの便が1本減便されて、1日5本ずつになった。

少々街外れにある江差ターミナル
少々街外れにある江差ターミナル

 さらに、曜日に関わらず1本は江差ターミナル止まり/始発のため、木古内〜江差市街地まで直接向かう便に絞り込むなら、平日5本、土休日4本のダイヤ設定に変わった、ということになる。

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