フジエクスプレスで臨時運転士として乗務する記者のバス運転士日誌は、とうとう入社して1年が経過し2年目に突入した。これまで乗務してきたバス事業者の率直な感想とその理由を考察してみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■社員証ゲット!
連載も20回を超えて気が付けば2025年の4月1日入社だったが、あっという間に1年を経過してしまった。別に勤務の期限を区切っているわけではないので、臨時運転士として働けるのであれば、できなくなる日まではやるつもりだ。そしてバス運転士として見えたことや、一般には見えない事業者の中を伝え続けるのが記者の使命だと考えている。
さて、1年が経過してまず変化があったのは、新しい仕様になったという社員証が交付されたことだろうか。これまでは、いかにも社員証という体裁の紙に写真と社判というものだったのが、プラスチックカードのなかなかシャレたものに変わったようだ。
福利厚生の記事で述べたが、社員証で富士急グループ各社の鉄道と路線バスに乗車できる。東京にいると使える路線はないが、山梨や静岡の富士山周辺部では絶大な威力を発揮する。
そんな暇な人はいないとは思うが、中央本線の大月まで行けさえすれば、富士山麓電気鉄道(いわゆる富士急行線)と富士急バスを乗り継いで、富士山の東側外周をなめるようにして御殿場駅や新富士駅まで1回乗り換えで行くことができる。
「ちなみに富士急バスの乗りバス取材するときに使っていいんですか?」と聞いてみたら、「ぜひ使って取材してあげてくださいよ」と言われたので別に構わないようだ。「くれぐれも売らないようにしてくださいよ」などと2年目のバイトと管理職が冗談を言い合えるのも、社風が合う合わないは別として事業者の空気とも言えるだろう。
■温かい運転士の皆さん
教育を受けている間の教官たちの指導については事細かく記事にしたので、詳細は初期の記事をご覧いただきたいが、運転士仲間の皆さんも親切で気さくな方がほとんどだ。何かを聞けば出庫時間ぎりぎりまで詳しく教えてくれるし、記者の「正体」を知っている運転士はエピソードを話した後に「今の話は記事にしてもいいんだよ」などと、とにかく気さくな方が多い。
正直どの事業者も同じだろうが、退職していく方も多い。よって残っている運転士が気さくな方が多いのか、気さくな方が多く入社しているのかはわからないが、いずれにしても結果としては親切で気さくな運転士が多いのは事実だ。
こんなことがあった。芝浦港南ルートを担当しているときに、田町駅東口で交代のためにバスの到着を待っていた。時間帯から品川から遅延してやってくることは分かっていたし、帰宅するだろう乗客が長蛇の列を作って並んでいる。今から交代して記者が乗せる乗客である。おそらく立席でパンパンになるだろう人数だ。
列の前に出てスタフを持ち革手袋をして待っていると、寒い日に遅れているバスを待っている乗客から話しかけられた。その瞬間に、遅延のクレームか問い合わせかと身構えたが「運転士さんも大変よねぇ」とねぎらいの言葉だった。「いえいえ、遅れてお待たせしてすいませんね。今7分遅れでこちらに向かってますから、もう少しお待ちくださいね」と紋切型ではあるが応じた。
「これだけ並んでいるんだから人が多いんでしょう?そりゃ遅れるわよねぇ」と言ってくれたので、周りの乗客の無言ながらうなづいていた。「ちぃばすの運転士さんは親切な人が多いわよ本当に」とまで言っていただいたときに折り返し便のバスが到着したので「交代したら暖房最強にしますので、交代まで2分くらい待ってくださいね」と言って先にバスに乗り込んだ。
こんなことを言われることはめったにないが、しかし言われたことは事実だ。ということは、フジエクスプレスの運転士は概ね親切だと、少なくともこの乗客には思われているということで、運転士仲間の気質の証明としたい。




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