学校の部活や郊外活動での送迎問題は、結局のところ「バス会社に任せる」ということに落ち着いた。鉄道会社が赤字路線を廃止しようとするときに必ず出てくる代替案は「バス転換」である。今までならばバス事業者はもろ手を挙げてよろこんだのだろうが、今後はそうはいかなくなる。今回は「いつまでもいると思うな運転士」というお話だ。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージであり本文とは関係ありません)
■学校の送迎問題
事故が起きてから対策を考えるのは古今東西変わらない人間の悪癖なのだろうか。ツアーバスが大事故を起こしてから規制を強め高速路線バス会社に転換した。学校行事の送迎で大事故が起こってから教育行政側がバス会社に任せようと通達し始めた。
テレビや新聞はこぞってバス事業者を取材し、貸切バスを依頼するメリットと安全性を報じまくった。ただし報道の大半が問題にしたのは「金」だった。個人でマイクロバスを借りて、必要な時にだけ運転手を確保するのがもっとも安価だ。
部活の強豪校や課外活動が活発な学校であれば、学校でバスを保有してしまうのも一案だ。常時、運転手は必要なもののその都度借りるよりは自由度が高く手配の必要がないので便利だ。半面、維持費用が掛かるのでレンタカーよりは金がかかる。
そして、今後は主流になるだろうと思われるのがバス事業者に貸切バスを依頼する方法だ。決められた貸切運賃で安心で安全な車両や乗務員を必要な距離と時間分貸し切れるのだから、最も楽で誰もが安心できることは論をまたない。行政も当然ながらこれを推奨し、報道もこれにならうが相当な金がかかることを懸念する内容ばかりで、本質が見えていないような気がする。
■修学旅行だって…
学生団体が必ず利用する貸切バスと言えば修学旅行だ。ところが、昨今では修学旅行ですら貸切バスの手配が難しい事態に陥っている。修学旅行の需要はバス事業者ではわかり切っているので、日程が集中しようが台数が増えようがこれまで蓄積されたデータで承知しているはずだ。
バスがないわけではない。車庫にはいくらでも貸切バスがある。ところが、それらを運転する人がいないのである。バスが足りなければ買って来ればよいが、運転士はそういうわけにはいかないのだ。よって需要があり、利益が出る貸切バスを受注したくても動かす人がいないので「無理です」と言わざるをえないのだ。
毎年必ず需要がある修学旅行ですらこの状態なのに、いつ遠征しなくてはならなくなるのか分からない部活の輸送は地方により事情は異なるだろうが、概ねたまたま空いていれば出してくれる程度に考えておかないと、金の問題ではなくなってしまうのだ。
■鉄道の廃止に付き物のバス転換
鉄道が廃止されるときに必ず出てくる議論が「バス転換」である。乗らなくなってしまった鉄道を運行するのに比べて、バスで運行した方が圧倒的に経費が掛からないのは事実で、これまではその理屈で、地域のバス事業者に鉄道代替のバス運行を委託したり路線免許を取得したりして廃止にこぎつけた例は枚挙にいとまがない。
しかし前述の修学旅行の例と同様に、鉄道転換路線のバスを運行する運転士が確保できなければ事業者は「無理です」となる。廃止する鉄道会社がバス事業者を子会社に持っていれば、責任をもってバス転換ができるかもしれないが、そういう例はあまりない。
これまでは、どうせバスに転換したところで赤字なのは分かりきっているので、たんまりと補助金という名のお土産を持たせて運行させていたが、補助金が切れると鉄道を廃止してできた転換バス路線も廃止されてしまったという路線はかなり多い。
それでも補助金が出ている間は損はしないのでバス事業者も走らせていたが、わざわざ赤字を垂れ流してまで路線を維持する義理はないので、廃止になるのは無理もないことだ。しかし、今後は運転士不足のためにバス転換そのものが物理的に不可能になる事態が見込まれる。



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