LED表示機の普及によって方向幕車を見る機会が激減した。方向幕を集めたくとも現物も少なくなってきたこの時代だが、手軽に集めることができる「方向幕グッズ」が各事業者から発売されている。お楽しみはこれからだ!!
文/写真:高木純一(バスマガジンvol.97より)
今治産の高級タオルを使用した実用性(?)も高い方向幕
2010年ごろから全国各地で見られたのが「方向幕タオル」だ。これはタオルに方向幕のような配置で行き先表示を並べた柄である。タオル地は今治産でタオルとしては高級品だ。
販売時は箱に入っており、バスで前面方向幕を表示している状態になっており、広げれば実際の方向幕のようにシート状になるため、リアル感が高い。
事業者によってはLED表示やフルカラーLED表示の方向幕タオルがあるのも面白い。大体10コマほどを選抜して配置しており、実際と同じコマ順ではないが雰囲気は楽しめる。
なかでも京都市交通局が販売している方向幕タオルは「原寸大」方向幕タオルで、方向幕1コマと大きさが同じタオルであり、今までに約10種類リリースされている。書体もリアルに再現されており、完成度は高く人気がある。
方向幕タオルは約2000円ほどで販売されているが、現在は新規で方向幕タオルを作る事業者は少なくなっている。
実物を作っていたメーカーのハイクォリティな玩具方向幕
最近関西地方で急激に種類が増えてきたのが「ミニミニ方向幕」だ。これはアクリル板にバスの方向幕表示窓を印刷し、外側のつまみを回して方向幕回転を楽しむおもちゃである。
製作している三彩工芸社は、元は本物の方向幕を多数制作していた方向幕印字メーカーの大手であり、フィルムの地は厚くなったが色や文字の再現度は非常に高い。
前面アクリル板の印刷を変えるだけで前面仕様も側面仕様もできるのは大きな特徴だ。おおよそ20~30コマを選抜して印字しているが、事業者によっては営業所単位での作り分けをしており、人気の高さがうかがえる。
価格は2000円ほどで、リアル度の高さと大きさが手ごろなためか、即日完売な事業者のものも多数ある。
関東地方では鉄道のミニミニ方向幕は見かけるようになったがバス用はまだ少ない。以前は鉄道模型メーカーであるトミーテックが似たようなミニチュア方向幕をリリースしていた。キーホルダーサイズでバス用は立川バスと東急バスのものが事業者限定で販売していたが、それ以降は作られていない。
今回紹介した品々は基本的に再生産は無い。売切れたらそれで終了、または違うバージョン(内容)での販売となるため買い逃しが大きな痛手になる場合もある。もう本物の方向幕はほぼ集められないが、“グッズなら”と思われた方は是非集めてみては?