ぶんご号は、1991年4月より運行開始した大分バスの高速路線車。名鉄にとっては6路線の夜行同年の4月からぶんご号と、佐世保便西海路号、鹿児島便錦江湾号もほぼ同時に開業し夜行は9路線となった。
6日に1度という運行ながら ほぼ満席になるほどの優良路線だった。
◉データ
大分―名古屋『ぶんご号』大分バス株式会社(大分交通/亀の井バス)
相手会社/名古屋鉄道(名鉄バス)
執筆/写真:石川正臣(バスマガジンvol.89より)
【画像ギャラリー】ぶんご号と相手車。こんなに華やかだった1990年代の高速バス!!
アイスグリーンのカラーデザインがSHDに似合っていた
ぶんご号は錦江湾号と同様、名古屋側の名鉄に対して九州側は3社であり、6日間に1回しか運行しないパターンであった。そのため、乗ってみたいのは大分側。運よく大分バス運行日に当たった。
車体はというと名鉄は三菱、亀の井と大分交通は西工。大分バスに至っては富士重でシャーシは日野、スーパーハイデッカーでは数少ないシャーシメーカーのオリジナル車体を使用しないマイナー車両だった。塗装は前年に開業した大阪便エメラルド号と同じ、登場したばかりのアイスグリーンの工夫凝らしたデザインであった。
乗る日々が近づくと楽しみになる。大分駅前の「トキハ前乗り場」で、九州内昼行便発車の後、堂々と着車。大分を離れればたそがれの大分湾を眺めて北へ。別府北浜で乗客がさらに増えればほぼ満席になった。
陽が落ちてそろそろ高速入りかなと思うと、暗くてよくわからないものの一般道をひたすら走っていた。宇佐と中津に順次停車した。高速で遠回りするより、一般道で近道をというルートだ。この2カ所でも数名の乗車があって、高速道路へ。
バスセンター3階からのアングルには、ついうっとり!!
バスはようやく九州から関門橋を渡り本州へ。そして中国自動車道から山陽自動車道へ。道路条件も気象も厳しいこの区間を乗客の安全第一で快走する。
大阪過ぎたあたりから夜が明けてきた。京阪神の都会をくぐり抜け、いったん山間部になり、山を切り抜け平地になってくると中京地区となる。並行する新幹線。すでに大阪や東京へ向けて走り去っていった。
インターを下りて名古屋市内を走ると名古屋名鉄バスセンターに到着。富士重工ボディのスーパーハイデッカーはより高く映え、バスセンター3階からのハイアングルは素晴らしいものだった。
かつて本コーナーで錦江湾号を紹介した際には、時刻の違いで並んではいなかったものの、出入口近くで林田産業交通の錦江湾号とスライドした。赤い三菱ふそうのバスに囲まれて、九州のこの2社は緑の富士重工と共通したいでたち。どちらも6日に1度しか現れないが同じ運行なので、アウェーのこの地でいつも顔を合わせていたのだろう。
そして2016年3月、ついに運行が取りやめとなった。ほぼ同時に開業した3路線、西海路号も錦江湾号もすでに運行取りやめている。ついに「ぶんご号」もか、とショックだった。
中京から九州の移動人口は決して少なくはないが、鉄道の便が便利な九州西側に対して、あまり便利でない九州東側の交通機関が1路線消滅したのは残念だった。