【特集・平成初期のバス】 現在は両備グループとして生まれ変わった中国バス 中国バス:編


 福山市を中心に広島県東部に広く路線網を展開する現在の中国バスは、2006(平成18)年に設立された両備グループの事業者であり、法人格の上で別会社となる旧中国バスは経営破綻を経て清算されている。

 ただし、バス事業は基本的に新会社へ引き継がれ、現在も同地域の公共交通の一翼を担っている。旧会社時代の平成初期は経営改善を目指し、しまなみ海道高速バスへの参入や中古バス導入による車両体質改善などに取り組んだ時期であった。

執筆/写真:石鎚 翼
※2021年3月発売「バスマガジンvol.106」より

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多彩な仕様で旅客ニーズに応えてきたバスを多く保有

いすゞBU04■短尺のいすゞBU系で、前中ドアを採用。座席は標準タイプで主に市内路線など短距離路線での使用を考慮して導入した仕様と思われる

 この当時の中国バスは、70年代から使用されてきた古参車が多く在籍する一方で、大阪市や淡路交通から中古車を導入し、老朽車両の置換えを進めていた。ただし自社発注の経年車も冷房化は進んでおり、ハイバックシートを装備し居住性を重視した車両も目立った。

 また、中4枚折戸や、側窓の天地寸法と同じ大きさを持つ大型方向幕を採用するなど大都市圏事業者に先んじて新たな仕様の導入も行っていた。

 一般路線バス用車両は主にいすゞ製と日野製が採用されていたが、自社発注車の車体選定も多くのパターンがあり、日野製車両は導入時期によって、日野車体、西日本車体工業、富士重工が架装していた。いすゞ製も川重(IKコーチ)、富士重工製が存在した。

いすゞKC-LV832L■1998(平成10)年に初めて導入されたノンステップバスで、車体には福山市の花であるバラがあしらわれた。試作的要素が強い車両で、早めに引退した

 ドア配置も短尺車は基本的に前中ドア、長尺車は前後ドアを採用したが、1980年代には長尺車も前中ドアで導入された。1998(平成10)年には、いすゞが初めて市販車として型式認定を受けたフルノンステップバスも導入された。

 1990年代には積極的に高速バス事業に参入し、1989(平成元)年に三原から東京線夜行高速バスを開設したのち、昼行・夜行バス路線を多く開設した。1994(平成6)年には、一日36往復を誇る広島〜福山線ローズライナーを開業するなど、高速バスは中国バスの新たな事業の柱として成長した。

 1999(平成10)年に西瀬戸自動車道(しまなみ海道)が開通し、広島県と愛媛県が道路で結ばれると、中国バスも高速バス「しまなみライナー」、「キララエクスプレス」に参入した。地域の他事業者も含め観光需要に大きな期待が込められたが、しまなみ海道の高速バスは総じて振るわず、多くの路線で見直しが行われることとなった。

日野P-RU608BB■高速バス「しまなみライナー」運行開始に備えて導入された日野ブルーリボンのスーパーミドルデッカ車で、元は東武鉄道で使用されていたもの

 一方で、急速な高速バス事業の拡大は車両調達上の負担も大きいことから、短距離昼行便を中心に中古バスも並行して投入し、費用負担の圧縮を図った。特にしまなみ海道関連の高速バス用車両は多くが貸切からの転用や中古バスで賄われることとなった。

 現在は両備グループとなった新生中国バス、激動の平成年間であったが、今後も着実に成長していくことを期待する。

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