今回のバス停散策は停留所名にもなっている都営バスの東陽操車所だ。操車所がある付近の歴史は意外と古く興味深い所だった。また撮りバスにもおすすめのスポットだ。
文/写真:小野寺利右
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
東陽操車所とは?
バスの車庫や操車所は全国津々浦々にあり、それぞれの形態は様々で興味深いが、今回は都営バスの東陽操車所に行ってみた。住所は江東区東陽で、永代通りの東側に面している。
東京メトロ東西線の東陽町駅至近であり、都営バスの路線も多く、東陽町駅前発着も多い。東陽操車所を主に使用する系統は東22系統の東陽町駅発着便、木11系統の新木場方面行き、亀21系統の亀戸駅行き、陽12系統などだ。
操車所の歴史
東陽操車所はかつては洲崎営業所を名乗っていた。洲崎は以前の地名であり、営業所の車庫は向かいにある都営アパートの敷地にもあった。停留所名は洲崎車庫前だった。
洲崎営業所は現在の深川営業所の前身で移転は昭和43年、当時は臨海地区にはバス路線は多くなく、徐々に路線を増やした結果として深川車庫に移転という形になる。
旧町名の洲崎
洲崎という場所は、江戸時代には東京湾を一望できる景勝地だったようで浮世絵師の歌川広重作「名所江戸百景」の一つ「深川洲崎十万坪」でも知られる。
この界隈に何か地名に残されているものはないかと探してみたが、まず郵便局が洲崎川(現在は埋め立てられていて公園)のそばにあり、その目の前に川の跡地の碑がある。ここからは少し離れたところには洲崎神社もある。
そして1956年の映画「洲崎パラダイス赤信号」の舞台になった遊郭(赤線地帯)があったのも洲崎だった。洲崎パラダイスは橋から南の一角で、現在は商店街になっている東陽弁天商店会が跡地と言えよう。
知る人ぞ知る有名なパン工場が近くに
操車所裏手にあるスポットを紹介しておく。名前はモンシェールというパン工場で、銀座のホテルにも卸している知る人ぞ知るメーカーだ。工場ではあるがここでデニッシュ食パンを買うことができる。営業時間はなんと24時間だ。
工場直売で購入できるのはパン好きにはうれしい場所だ。実際に食べてみると、生地にバターと生クリーム練りこんでいて、そのままでも生地の甘さを存分に感じられとても美味しい。プレーンはいつでも購入可能だが、他のフレーバーは要予約なので要注意だ。