ハイブリッドという手も!
「座席が指定されていない便(座席定員制や予約定員制または近距離高速バスや空港連絡バス等)」については、のりば固定で運用するしかないのだ。座席を指定しない路線では先着順乗車なので乗客に並んでもらう必要があり、そのスペースは原則としてのりばの前になるからだ。
座席指定制路線の場合は、事業者側でシステムや予約センターを設置する費用が必要で、乗客にも予約の手間が発生するので、短距離で高頻度運行、日常利用の乗客が多く、鉄道との競合路線では定員制をとることが多い。
仮定の話だが「旧・新宿西口」発着路線のうち例えば新宿~甲府線は、BTのスペースが十分にあり、のりば固定タイプで運用できていたならば、東京~水戸線などと同様に座席定員制となっていたのではないだろうか。
旅客案内に必要な配慮とは?
のりばを固定しないタイプのウィークポイントは、案内の難しさと乗客の不安感である。最近では出発案内表示(デジタルサイネージ)や音声合成の自動放送装置も柔軟な運用に、かつ多言語に対応している。それでも「ここで待てば、自分が乗るバスが必ず来る」という場所がないことは乗客には不安だろう。
乗客は案内表示をずっと見ているわけではないので、案内放送が重要であることは論を待たない。のりばが固定されていないタイプのBTで、時折「1番乗り場に○○行きが到着しました」という放送を聞くが、これは順序が逆である。
乗客は事前に乗り場がわからない状態からスタートするので、先にのりばを伝えても「自分のバスだ」と気が付かない。「○○行きのバスは、1番乗り場でご案内します」と、行先や路線名を先に告げるべきだ。その際に乗車券面上の路線名とバスの行先停留所名が異なる場合があるので、券面の表記に従い案内すべきなのは、どちらのタイプのBTでも共通だ。
さらに、同時刻発車便(同じ時刻に多方面に同時発車すること)が多い大規模BTでは「いま乗車改札中の便」の案内はもちろんだが、「まだ入線していない便」を積極的に伝えることも重要になる。次の例による。
「ただいま10時発の高速バスの改札中です。10時発は4便ありますが、そのうち○○行きは1番、◎◎行きは2番乗り場で改札中です。それ以外の、××行きと△△行き、および10時10分以降の便につきましてはバスが到着次第、この放送で乗り場をご案内いたします」
高速BT新設で考えるべきこと
BTの新設または改修に際しては、このほかにも発券スペース(窓口や券売機)のあり方など検討すべき点は多いが、バース運用の問題こそ最初に決めるべきポイントなのである。
「バスタ新宿」を追いかけるように、全国で高速BTの新設が続く。今後も発券や乗車改札などの現場での実際の運用を踏まえた上で、BTの課題について考えてみたい。
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