コロナ禍もやっと落ち着きを見せ、海外旅行ができるようになってきた。そこで筆者も久しぶりに海外へ出てみた。2年半のブランクがあるので、手強い国は避け、「治安のいい国ベスト10」にランキングされていたスロベニアを選んでみた。
(記事の内容は、2023年1月現在のものです)
執筆・写真/谷川一巳
※2023年1月発売《バスマガジンvol.117》『バスにまつわる愉快だけどマジな話』より
■小国ながらIT化の進んだ国
スロベニアは日本でたとえると四国とほぼ同じ面積の小国だ。旧ユーゴスラビア連邦の国で唯一通貨がユーロという国で、現在は「ユーロ圏でもっとも物価が安い国」ともいわれ、これも旅行先として選んだ大きな理由である。
私は首都リュブリャナだけに滞在し、そこを拠点に鉄道やバスを使って地方の観光もしたのである。
高速バスを利用したし、鉄道からローカルバスへ乗り継ぐこともした。もちろん空港バスも利用した。しかし、リュブリャナは徒歩だけで充分見所を見て回れるくらいの小さな町なので、市内バスは利用しなかった。
ちなみに、市内バスは現金での利用はできず、外国人旅行者もICカードを作る必要がある。諸外国では珍しいことではないが、スロベニアでもIT化は進んでいる。
■物価安の隣国への人流を支える格安長距離バス
では「バスマガジン」向けのもっと奥深いバスネタはないかと街を散策していると、隣国オーストリアの旅行者から有力な情報をゲットした。
現在、スロベニアの観光地は外国人観光客で大変賑わっている。それには理由があり、ドイツ、オーストリア、イタリアなど隣国では、ロシアのウクライナ侵攻によってエネルギー不足に見舞われ、電気代が3倍に跳ね上がり、その影響で物価がかなり上がっているそうだ。
すると、前述通り「ユーロ圏でもっとも物価の安いスロベニア」は格好の旅行先になるわけだ。事実、観光客は「スロベニアは物価が安くてかなり楽」と話していた。
そして、ここからが有力なバス情報だ。これら隣国からの観光客の多くが、フリックスバスという格安バスでスロベニア入りしているのである。
このバス会社はドイツのミュンヘンを拠点にし、2016年設立と若い会社ではあるが、ヨーロッパ中に格安長距離バスを運行していて、旅行者に支持を得ているのである。
ウイーンからの観光客も日本円に換算すると4000~5000円で、つまり往復1万円程度で海外旅行を楽しんでいる。週末1泊2日でもこのスロベニアにやってきているのである。
フリックスバスは緑の車体が目印で、リュブリャナを例にすると、鉄道駅前にバスターミナルがあるもののそこへは発着せず、近くの路上がバス停であった。
日本でもかつて東京駅周辺などで同じ状況であったが、それに酷似している。バス停には時刻表などはなく、すべて専用アプリで確認、予約も行うのである。
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