■瓜二つである納得のワケ
いすゞガーラミオ/日野メルファの「顔」を見ると、ともに横長の角目2灯ライトを持つスタイル。ウインカー、ヘッドライト、社名などバスの所有者を掲示させるケースが横一列のユニット状になっている。
両車ともにデザインはほぼ同じで瓜二つ。実はこれらのバス車両、最近のいすゞ/日野製路線車・高速車と同様の共通設計になっており、製造はジェイ・バスが行っている。最大の違いは発売元のブランドとペットネームだ。
発売元が用意しているグレードはそれぞれ3種類。ガーラミオが「M-I」、「M-II」、「M-III」。メルファは「デラックス」、「スーパーデラックス」、「ロイヤルサルーン」と称する。この他に特装車向けのベース車体もある。
車体形状は全グレード共通。車内のシートや仕切り、アクセサリー類の充実度、補助席の数、折り戸かスイング扉か、といったあたりが各グレードごとに異なる。定員は35〜45名で、高速道路に対応しているため立席乗車はできない。
■活躍中の様子を街中でうかがってみると……
ガーラミオ/メルファともに、発売元では無料の送迎バスや観光用の貸切バス、自家用車での登録といった用途・目的を想定してしている。
街中を走る同ミドルデッカー車の様子をうかがってみると、発売元が意図した通り、自治体が所有している自家用登録の車であったり、送迎バス・貸切バス、スクールバスに使われている光景をよく見かける。
しかしこれら車両、短〜中距離を問わず一般路線バスやコミュニティバス、町営バスといった、運賃を徴収する乗合バスの車両として選ばれているケースも決して珍しくない。乗合仕様には行先表示器や運賃箱が増設され、ちゃんと路線車のオーラを放っているのが見ていて楽しい。
唯一、乗合高速バス向けにガーラミオ/メルファが使われる機会は、どうやらゼロではないらしいが、全国的にもかなりユニークな事例となるようだ。
それにしても、一連のバスのニーズに応える性質を持っているのは確かで、よくよくチェックしてみれば、他のバス車両にはない、なかなかのマルチロールな車に改めて思えてきた。
ちなみに、各地で見かけた同車のうち、ガーラミオ/メルファのどちらが多いのか、記録が残っているものを確認したところ全てメルファだった。何気にガーラミオは簡単に出会えないレア車なのか気になるところだ。
極端な関係を持つモノ・コトに、間がないとモヤモヤしてしまうのは日本人の切ないサガかもしれないが、殊にバス車両に関しては、ちゃんと中間を埋める車種が用意されていた、と考えたい。
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